外国からの観光客にも人気の古都・鎌倉。
温泉地ではない神奈川・鎌倉市で入湯税導入が波紋を広げています。
30日に開かれた鎌倉市議会で可決されたのが、温泉施設を利用した時に課税される入湯税の導入です。
これにより2026年10月から、市内の温泉利用客に150円の入湯税が課されることに。
市は入湯税導入により年間約500万円の税収を見込んでいて、公衆トイレや案内板の整備などオーバーツーリズム対策に充てる予定だといいます。
導入に地元民からは「観光客が多い割に財政が豊かじゃない。『いいんじゃないの』という気もします」「ただピンポイントで入湯税というのは、もしかしたらかわいそうかも」などの声が聞かれました。
入湯税は箱根や熱海、別府など有名温泉地がある自治体に限らず、全国各地で1000以上の自治体が導入しています。
鎌倉市では温泉施設が少なく、入湯税の対象は2カ所のみ。
その1つが稲村ケ崎温泉。
温泉地ではない鎌倉市で湧き出た唯一の天然温泉として、人気の温泉施設です。
利用客は「月に1~2回程度。(肌が)ツルツルになるのでこの温泉。癒やされますね」「何回も来てます。江の島も見えて気持ちいい」と話します。
入湯税の対象がわずか2施設ということに施設側は猛反発しています。
稲村ヶ崎温泉・吉澤治郎代表:
びっくりした次第ですね。うちしかないのに税金とって、うちのために何をするんだろうとか。今の値段に(入湯税を)上乗せしないといけない。お客さんにすごく迷惑かけて、本当にやりたくない。
客の負担が増えることに対し反発を示していました。
さらに「えげつないなと思います」と話す吉澤代表は。
実はこの温泉の運営会社は、映画のロケ地でも知られる鎌倉市の人気カフェも経営。
カフェの明け渡しなどを巡り、今もなお市と法廷闘争が続いています。
施設側は、このことと入湯税の導入が関係しているのではと主張します。
稲村ヶ崎温泉・吉澤治郎代表:
関連してんじゃないのかなって疑ってしまいますね。あの手この手でいろいろ妨害してきている節はありますね。
入湯税導入は“狙い撃ち”だと訴える施設側。
一方、鎌倉市側は「イット!」の取材に対し、「これまで数も規模も小さいことから入湯税を課税していませんでしたが、ないほうが例外で、本来は地方税法にのっとり、すべきものです。特定の事業者に対し、“狙い撃ち”という意図はありません」とコメントしています。
今後、市ではオーバーツーリズム対策として、入湯税だけでなく宿泊税の導入も検討していくということです。