2020年11月3日に迫ったアメリカ大統領選挙。FNNプライムオンライン編集部では、専門家が現地の情勢を本音で語り合うオンラインイベント『ガチトーク』を6週連続で開催中。

10月6日(水)に開催された第2回では、トランプ氏の新型コロナウイルスによる入退院を踏まえ議論した。アメリカ政治・外交、国際政治を専門とする慶應義塾大学総合政策学部の中山俊宏教授とフジテレビ報道局の風間晋解説委員の2人に加え、ジャーナリストの木村太郎氏をゲストに迎えてガチトークを展開。その内容をお届けする。

トランプ大統領は入院しても権限をペンス副大統領に委譲せず

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フジテレビ・風間晋解説委員:
副大統領候補の討論会もあったが、このタイミングで副大統領に焦点が当たりました。今回トランプ大統領が入院するにあたってペンス副大統領に権限を委譲すべきだったのかという論点です。ホワイトハウスは入院の際に、委譲しないという報道官の声明を出しました。

慶應義塾大学・中山俊宏教授:
今のルールが定まってから、確かレーガン大統領の時に一回、ジョージ・W・ブッシュ大統領の時に一回、副大統領に権限を委譲しています。ブッシュ大統領は医療的な問題、レーガン大統領は、銃撃事件のあった時ですよね?

ジャーナリスト・木村太郎氏:
いや、撃たれた時じゃない。別の病気で手術をした時に権限移譲をしています。銃撃事件の時は麻酔の必要が無いと判断されました。

中山:
なるほど。いずれにしても執務ができるなら必要ない、気を失ったりはしていないから大丈夫というのがトランプ側の判断だったのでしょうね。むしろ、ペンス副大統領が普通にキャンペーンを続けていていいのかというのが疑問でした。大統領があの状況で、副大統領は慎重にならなくては。

木村:
もしトランプ大統領が病気でペンス副大統領まで隔離となると、大統領継承法ではナンシー・ペロシ下院議長が代行大統領になる。ここで立法府の長が行政府の長になることは憲法違反との指摘がある。大変な議論になる。そのとき最高裁を誰が仕切っているのか。そこでパレット判事の任命が承認され、最高裁判事が保守派6人対リベラル派3人の構図になっているかどうかが、共和党にとって大事になってくる。

風間:
今回のトランプ大統領入院に伴う権限委譲の判断については、問題はありませんでしたか?

木村:
中山先生の言った通り、核のボタンが押せない状態になれば代行を立てておかねばならない。そうならなかったならばよかった。今後病気になって麻酔を打つようなことになれば、代行は必要。委譲しない場合、修正25条を発動してでも副大統領が強制的に代行にならないといけない。

副大統領候補は選挙にさほど影響しない? 注目ポイントは

風間:
アメリカ人の世論調査では、大統領を選ぶのであって、副大統領候補が誰であれ投票行動には影響しないという人が70%。副大統領候補についてメディアがウンチクを言っても、有権者の考えや気持ちを反映してはいないかも。

木村:
僕もそう思う。副大統領候補の討論会は選挙の趨勢には影響しない。でも一回だけ、サラ・ペイリン氏が副大統領候補になった時は、本選よりも副大統領候補の討論会が人気だった。

風間:
サラ・ペイリン氏の時は、なんとなく怖いもの見たさのようなものがありましたね。

木村:
面白いもの見たさですよ。

風間:
(笑)中山先生はいかがですか?カマラ・ハリス氏は副大統領候補になってから、猫をかぶっているようにも見えますが。

中山:
バイデン氏が民主党の変化の潮流を何も象徴していないとしたら、副大統領候補のカマラ・ハリス氏はそれを象徴している。女性で、アフリカ系とインド系のミックス。選挙そのものの構造を変えることはないが。

また、バイデン氏は高齢であることの負の影響が否めない。明らかに失速している。「次の人」も考え、副大統領が誰になるかは、普通よりは人々の意識にあるのでは。

木村:
カマラ・ハリス氏がいま静かにしているのは、上院議員100人の中で、一番「左翼」だという統計があるから。共和党にすれば彼女の実像を討論であぶり出したい。その点は興味があります。 

どのメディアが大統領選の客観的な情報を伝えているのか?

風間:
「どのメディアの世論調査が最も客観的か?」という質問が来ています。

木村:
いい質問。トランプ氏の退院後に現時点で4つの結果が出ている。CNN、NBC、ウォール・ストリート・ジャーナルはバイデン氏が17ポイント上回っていると。しかしジョン・ゾグビー氏のゾグビー社によれば49対47で競ってきた。イギリスのサンデー・エクスプレスは46対45でトランプが逆転したと言っている。

時期の問題がある。CNN、NBC、ウォール・ストリート・ジャーナルは討論の後から調査している。ゾグビー社は10月2日のトランプ氏入院直後から。討論会でトランプ氏は大負けだったはずだが、入院したことへの同情票が押し寄せたんじゃないかと見ます。

中山:
世論調査に強い同志社大学の飯田健先生に聞いた話ですが、単一の世論調査を見ているだけではダメ。平均値を取ることにも問題はあるが、単一の調査では常に信頼できる・できないを言うことはできない。平均値にもいろんな出し方があるが、リアル・クリア・ポリティクスが一番有名。そんな中、ファイブサーティエイトというウェブサイトの平均値が信頼できるんじゃないか、というお話でした。

木村太郎氏はトランプ氏の勝利を予測

風間:
それでは木村太郎さん、今回の予測をお願いします。

木村:
トランプ氏が勝つと予測します。アメリカに行けないので、肌で感じることができずもどかしいんだけど、電話取材などをしています。

このあいだ、他の局の番組である地区に住みこんでいる記者と長いこと話し、面白いことを聞いた。そこは激戦区で、アメリカでは各戸が「ヤードサイン」といって庭の前に支持する候補者のサインを出すのだが、それがトランプ氏ばっかりだと。

ドア・ノッキング、いわゆる戸別訪問にしても、トランプ氏が強い地域というわけではないのに、バイデン陣営は一人も回っていない。熱の入れ方が全然違う。ヒラリー・クリントン氏のときもそうだったが。そのため、トランプ氏がひっくり返すだろうと思っています。

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第2回「アメリカ大統領選ガチトーク」特別ゲストに木村太郎さんが参戦!