県内の世界遺産を巡るスタンプラリーが開催されています。万田坑や三角西港が世界文化遺産の登録から10周年を迎えた今年、遺産としての価値を後世に伝える取り組みに力が入れられています。
【訪れた人】「〈日本の高度成長をこれが支えたんだな〉という気がします。こうやって産業遺構として残すのは素晴らしいなと思いました」
荒尾市にある万田坑は三池炭鉱の一つとして、明治から昭和初期にかけて石炭を採掘した施設です。1997年に閉山後も当時の様子を伝えるため、建物などが保存されているほか、去年からは、当時、石炭や人を運んでいた『炭鉱電車』の展示も始まりました。
【訪れた子ども】「今とは違う電車の乗り物ですごかった。見た目やブレーキみたいなのも違った」
荒尾市によりますと、1910年代のピーク時には年間85万トンの石炭を採掘していた万田坑。
【2015年の様子】「登録、採択されました」
2015年に「急速な産業化の歴史を物語る遺跡群」として宇城市の『三角西港』を含む八つの県の資産とともに『明治日本(にほん)の産業革命遺産』に登録され、ことしで10周年を迎えます。
【荒尾市観光文化交流課 野田真衣さん】「10年たったということですが、アッという間な気もしています。ただその間、いろいろ課題も出てきて、お祝いムード半分、半分はこれから、未来永劫つないでいくという責任感が重たく半分という感じです」
課題の一つは、ガイドの高齢化などを要因とした歴史の継承です。かつて三池炭鉱で働いていた人たちを中心におよそ10人がガイドをしていますが、ほとんどが80代以上です。
今後も『世界遺産』としての価値を広く伝えていくため、市は県内のほかの世界遺産と連携したイベントを始めました。それが『重ねおしスタンプラリー』。万田坑や三角西港のほか、天草市の崎津集落など熊本県内5カ所のスポットを巡り、一枚の絵を完成させます。
【仲野香穂アナウンサー】「最後に万田坑のスタンプを押すと象徴的なレンガ造りの赤に変わりました。各地を巡って初めて一枚の絵が完成するということで達成感を得られそうです」完成した絵をスタッフに見せると世界遺産の記念グッズがもらえます。
【荒尾市観光文化交流課 野田真衣さん】「まずは熊本県内で一体的に守りつないでいくことができればという思いがありました。世界遺産とはそもそもどんなものなのかを知ってもらうきっかけになってもらえたらうれしいなと思っています」
県内の世界遺産を巡るスタンプラリーは12月28日まで開催されています。