三重県四日市市での記録的な大雨から5日が経ちますが、床上浸水や車の水没など被害は深刻で、復旧のめどは立っていません。整備工場には依頼が殺到し、代車不足となっていました。

■床上浸水が約200棟の被害…住民「今回が初めて」
9月17日から罹災証明書などの受け付けを始めた四日市市役所。朝から手続きに訪れた市民の写真を見て、職員が被害の状況を聞き取りました。

市民:
「賃貸の自宅が床上浸水しまして。(罹災証明書は)家財保険の申請や、車も1台水没したので手続きに。受付がスムーズだったので、その点はありがたい」
9月12日、1時間で123.5ミリの記録的な大雨を観測した四日市市。住宅では床上浸水がおよそ200軒、床下浸水がおよそ3100軒の被害が確認されました。
住宅が床上浸水した女性に話を聞きました。床はめくれあがってしまっています。

住民の女性:
「この階段のところまで水がきた。今まで(水が)上にあがったことはないんです。今回が初めて。ぐちゃぐちゃですよ。絨毯が敷いてあったけど捨ててもらって。床がこんなふうになってしまった」
近鉄四日市駅前の地下駐車場では、17日朝までにようやく排水作業が完了しました。

しかし、地下1階と2階で水没した車274台を運び出すめどは立っていません。
■整備工場には依頼が殺到「代車にも限りがある」
車の被害は、地下駐車場だけではありません。屋外の駐車場に止めてあった不動産会社の営業車からは、いまだに車体から水滴が落ちていました。

不動産会社の従業員:
「シートがビタビタになっていて、ほぼ動けない車です。エンジンは鍵は回してみたが、修理工場から動かすなと言われたので、そのままお願いしてレッカーしてもらった」
四日市市内の整備工場「N CRAFT」には、修理の見積もり依頼が20件以上相次ぎ、対応に追われています。

溜まった水を抜き終えたばかりの車もありました。

N CRAFTの野呂社長:
「このマットの下の水がたまる。(所有者は)靴もべちゃべちゃだったと言っていた」
水没だけなく、大雨による視界不良の中で事故を起こした車も持ち込まれていました。
野呂社長:
「代車にも限りがあるので。保険会社から連絡があり着工するが、連絡が追いついてない」

市民の日常生活が戻るめどがたたない中、四日市市の森市長は、大雨の被害への対応のため、地元出身のザブングル・加藤さんとコンビを組む予定だったM−1グランプリへの出場を取りやめると発表しています。
■保険でカバーされる?
大雨災害が各地で相次ぐ中、車の被害が保険でカバーされるのでしょうか。

車の保険は、必ず入る「自賠責保険」と「任意保険」があります。今回のような災害をカバーするのは、そのなかでも自分の車の被害を補償する「車両保険」です。
その分保険料も上がるため、車両保険に入らない人いますが、損害保険料率算出機構によると、加入率は47.2%です。
「保険コンパス」のコンサルタント・加藤さんによると、保険料が上がっていることや物価高などで、固定費を減らそうと車両保険に入らない人が増えているそうです。
“自宅周辺で水害のリスクが低いから大丈夫”という人も、通勤ルートなどが水没する危険も把握した方がいいということです。