特集です。高校生が、大麻で逮捕、起訴されるケースが県内で相次いでいます。森山記者とお伝えします。
(森山裕香子記者)
今年5月以降の大麻に関わる事件の一部です。5月、校内検査で高校生が大麻を所持していたことがわかり、8月には宮崎市木崎浜で大学生が所持、延岡市では大麻草の栽培、9月にはSNSでの密売グループが摘発、いずれも10代、20代です。
今年1月から7月までに、県内で大麻で検挙された人は75人と、去年1年間の66人を超えました。県警がデータを取り始めてから最も多くなっています。
検挙された75人のうち20代・10代が61人と8割を占めています。なぜ、県内で若い世代に大麻が広まっているのか、取材すると「ハードルの低さ」というキーワードが浮かび上がってきました。
弁護士法人きさらぎの高山桂弁護士は、大麻で逮捕された人の弁護も請け負う弁護士です。若い世代に広がる状況を弁護士の視点でYouTubeで解説、多くの人にその危険性を訴えています。
(弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士)
「大麻なら手を出してもいいかという、精神的ハードルの低さ。それが、大麻に手を出す方々が多くなってしまっている、大きな要因だと思う」
去年秋、警察庁が大麻を所持して検挙された人に行った調査結果です。大麻を初めて使用した動機をみると、「好奇心・興味本位」が最も多く、2番目が「その場の雰囲気」。この2つでおよそ6割となりました。
大麻は「ゲートウェイドラッグ」と呼ばれ、その要因は3つあるといいます。まず誤った認識の広まり、2つ目が入手しやすい、3つ目がコミュニティです。具体的に見ていきます。まず誤った認識について…
(弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士)
「色々な誤解がある。例えば、海外では合法な国があるとか、そんなに身体に害がないとか」
覚醒剤との危険性の認識の違いをみても、覚醒剤は危険性が「大いにあり」「あり」と答えた人がおよそ8割でしたが、大麻ではおよそ2割でした。次は入手しやすい理由。
(弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士)
「覚醒剤は化学物質。つまり、化学合成しないと生成できないが、大麻は大麻草を栽培して、そこから樹脂等を生成していくので、作りやすい。インターネットの闇サイトで、ブロッコリーや野菜などの隠語で、簡単な取引で買える」
大麻の入手先を知る方法は、10代と20代は「インターネット経由」がおよそ4割となっています。それ以外では知人・友人からの紹介や譲渡が多くなっています。3つ目はコミュニティ。宮崎はこれが大きく影響しています。
(弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士)
「宮崎という地域だからこそ、コミュニティが小さい。コミュニティが小さいからこそ、そのコミュニティ内でぶわーって広まる。コミュニティが狭くて濃い分、断りにくい」
(キャスター)
大麻の所持や使用、譲渡などは犯罪です。法律で厳しく罰せられます。去年12月、法律が改正されたんですよね。
(森山裕香子記者)
法律が改正され大麻は麻薬と位置づけられました。すでに禁止されている「所持」「譲渡」などに加え、新たに「使用」が禁止されました。また営利目的ではない所持はこれまでの5年以下から、7年以下の拘禁刑が科されることになりました。
(弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士)
「(大麻は)麻薬であるという考え方が国際的な流れ。日本としても、その国際的な流れに合わせるという理由がひとつ。大麻は麻薬であるということをはっきりと法体系で整理するというのが2つ目。3つ目としては、増加がずっと続いているので、罪を厳罰化して、その数を減少させる」
高山弁護士は、県内で逮捕が相次ぐ現状は氷山の一角だといいます。
(弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士)
「常習されている方は多くいらっしゃる。抜け出せなくなっている方を、我々生で見ているので、だからこそ最初の1回目から手を出さない」
大麻に手を出すことが、身体にも自分の将来にもどんな悪影響を及ぼすのか、若い世代の人たちは知る必要があります。
(弁護士法人きさらぎ 高山桂弁護士)
「ひとつの軽い気持ちで手を出したものが、自分の人生というものを全て台無しにしてしまうのが、大麻の怖さ。もし、友人や先輩に誘われた時にでも、強い意思を持って断ってください」