北海道の秋の味覚が明暗分かれる事態となっています。
都内のお店でお客さんが舌鼓を打っていたのは、スルメイカの天ぷらに一夜干し。
2025年のイカはプリプリで歯応えもあるうえサイズも大きいといいます。
根室食堂 尾山台店・平山徳治さん:
今年はそんなに悪くないんじゃないですかね。値段もそんなに高くないし、去年と比べると3分の2くらいの値段。お願いしたら届くから、しっかり量は取れてるのかなと。
北海道・根室市の花咲港で次々と水揚げされた、箱いっぱいに入ったスルメイカ。
根室市では、スルメイカの漁獲量が2024年は何とゼロ。
しかし2025年は一転、これまでの水揚げ量は100トンを超え、豊漁となっているのです。
一方で、歴史的な不漁が心配されているのが、これから旬を迎える秋サケです。
北海道各地で水揚げが始まっていますが、2025年の来遊量は2024年より4割減少し、平成以降で過去最低になると予測されています。
秋サケ不漁の影響は鮮魚店にも表れています。
仕入れ価格は2024年に比べ2割上昇。
それでも、お客さんに少しでも安く提供しようと利益度外視で販売しているといいます。
石毛魚類 みつわ台店・坪井義裕店長:
今年も不漁だよって。年々高騰してますね秋サケは。無理して売っちゃってますね、はっきり言って。
来店客は「旬の物はやっぱりおいしいのよ。(旬の物は)1回は食べたいね」「食べる回数が減っちゃうかもしれないですよね」と話しました。
さらに、秋サケが不漁となると、スジコやイクラなども値上がりするとみられています。
異変は野菜にも起きています。
日本一のジャガイモの生産地、北海道・十勝。
ジャガイモ農家・前多幹夫さん:
今年は玉数も少なく小さいので収穫量が落ちているのが現状です。普段はこれより1.2~1.3倍あると思う。
この夏の北海道の気温は平年より3.7度も高く、これまでの暑さの記録を大幅に更新。
さらに畑のある帯広市は、6月と7月は雨も少なかったためジャガイモが大きく育っていないといいます。
ジャガイモ農家・前多幹夫さん:
ここまで北海道や十勝の気候が変わってくると、今後の不安の方がものすごく大きい。
野菜の小型化は他にも。
いろいろな料理に欠かせないタマネギですが、例年のものと比べるとその差は歴然。ふた回りほども小さく見えます。
買い物客は「こんなに違うんだって気づいてなかったです」「大きければ2、3個で済む料理でも、小さいと多めに買わないといけなかったり」と話しました。
スーパーイズミ・五味衛代表:
今年みたいに北海道がこれだけ暑くなったから、非常に栄養が行き渡らなくてダメみたいですね。
2026年春ごろまで市場に出回るタマネギは主に北海道産だということで、スーパーも心配は尽きません。
これから楽しみな秋の味覚ですが、猛暑の影響はしばらく続きそうです。