福井県内ではコシヒカリの収穫が最盛期に入っています。“令和のコメ騒動”で農業をめぐる様々な課題が指摘される中、JA県中央会は10日、農家が安心してコメ作りができるよう国に要望書を提出しました。
10日午前、福井市東今泉町の田んぼでコシヒカリの刈り取りに精を出していたのは農家の河戸文雄さんです。
猛暑や水不足によるイネの生育への影響が心配されましたが、河戸さんの田んぼではコシヒカリの出来は上々で、収穫量も去年よりは少し多いと期待しています。
一方、令和のコメ騒動といわれる状況に農家は困惑しています。
▼日米関税交渉に伴う輸入米の拡大▼コメの出来栄えの目安となる「作況指数」の廃止▼コメ不足に対応した増産など、国が次々と従来のコメ作りの方針転換を打ち出しているからです。
河戸さんは「個人的には作況指数はあてにしていない。実際は、今年も(全国的には)収穫量が少ないと思う。作況では豊作のようだが」と話します。
こうした中、10日、JA福井県中央会は、農林水産省北陸農政局に要望書を提出しました。要望書には▼コメの需給見通しの公表▼収穫量調査について正確な情報の提供▼政府備蓄米の適正な水準への買い戻しなどが盛り込まれています。
JA県五連の宮田会長は「これからどうなるのか不安。増産といっても今後の需給見通しを早く打ち出して、生産体系を作らないとコメの価格は安定しない」と話します。
農家の河戸さんは「増産は無理。もう農家もやめているし、これまで放置していた田んぼをこれから田んぼにしようとしても無理。過去を見ると、増産といっても、コメがあふれると絶対に減反になるから、政府には不信感がある」と厳しい見方を示します。
令和のコメ騒動で浮き彫りになった、日本の農業の課題。今後の農政改革の行方が注目されます。