7月のカムチャツカ半島沖地震で津波警報が発表され、各地に津波が押し寄せました。
この時に見えた、津波被害の課題を検証します。
7月、カムチャツカ半島沖を震源とする地震が発生。
気象庁は各地に津波警報を発表しました。
警報が注意報に切り替わるまで約11時間。
猛烈な暑さの中での「避難」では、新たな課題が浮き彫りになりました。
兵庫県で41.2度を記録したこの日、全国では避難中の熱中症の疑いで9人が搬送されました。
神奈川・藤沢市では、江の島近くの津波避難タワーに多くの人が避難。
改めて取材すると、屋根のある2階は幾分涼しいのですが、長時間の避難は暑さで厳しいように感じられました。
藤沢市・防災政策課 佐々木英之課長補佐:
2、3時間、昼10時~12時くらい滞在していたのがメイン。午後1時くらいには避難者はいない状況。
また、北海道・苫小牧市では、高台の公園に向けて車の長い渋滞が。
この高台への渋滞はどのようにして起きたのでしょうか?
当時の車と人の動きを追ったデータをみると、「滞留」を示すのが赤い丸。
津波警報発表から1時間まではどんどん高台へと向かっていき、赤い丸が重なり合いました。
しかし、津波警報発表から6時間経った午後4時ごろには、赤い丸が高台から次々と離れ始めました。
多くの人が車を使って高台に避難した影響で、高台に続く道や主要道路が渋滞していったということです。
株式会社Agoop 人流データ可視化の開発担当者・上山宏氏:
警報が出た後に渋滞している傾向は(全国)どこでも増えたかなと思います。
国は、津波避難では徒歩が原則としていますが、東北地方のある自治体は「車での避難が増えれば、渋滞だけでなく徒歩避難に支障をきたす恐れがある」と回答しています。
津波では高台に避難するのが最も重要ですが、どこにどうやって避難するかを常に考えておく必要があります。