8月12日、神奈川県の横須賀基地に現れた、イギリスの空母「プリンス・オブ・ウェールズ」。
排水量6万5000トンの巨大軍艦で、前にいる海上自衛隊の護衛艦と比べるとその大きさが分かる。

「プリンス・オブ・ウェールズ」は、8月28日には東京港へ移動。その際に一部メディアに最新鋭艦を公開した。

垣間見える「中国へのけん制」

甲板にずらりと並んでいたのは、最新鋭のステルス戦闘機F-35B。プリンス・オブ・ウェールズの特徴の1つ、反り返ったスキージャンプ甲板を使うことで、F-35Bは100mあまりの滑走で飛び立てる。

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この最新鋭空母が、なぜいま日本を訪れたのか。

能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
中国へのけん制の思惑が垣間見えます。

中国では9月3日に、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記を招き、日本との戦争に勝利して80年の大規模パレードを開催する。

一方、プリンス・オブ・ウェールズの艦隊は、その前日に日本を離れた後、第2次大戦中に南シナ海で日本軍に撃沈された戦艦、初代プリンス・オブ・ウェールズの追悼を海上自衛隊とともに行う予定だ。

能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
イギリス側は追悼式典について、「この地域での協力に、どれだけ真剣であるかを示すもの」としていますが、追悼式典を行うことと、中国海軍のミサイル原潜が潜む南シナ海そのものに軍艦を送り込み、探りを入れる。どちらに真剣であるか、興味深いところです。

“イギリスがアジア安定の一翼を”アメリカが描く青写真?

中国へのけん制と同時に、日本との関係強化を進めるイギリス。

プリンス・オブ・ウェールズのF-35B戦闘機は、日本に寄港する前に、事実上の空母化が進む護衛艦「かが」の甲板に初めて着艦した。

2025年、イギリスとアメリカのF-35Bが日本国内の民間飛行場に緊急着陸。どちらも飛行中に不具合が起きたとみられる。こうした時の救難態勢も、イギリスなどの有志国が日本周辺に駆けつけるかどうかに影響する可能性がある。

能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
日本の唯一の同盟国、アメリカは、1980年代に「空母中心の艦隊を15個編成する」という目標を立てていましたが現在の保有数は11隻。一方で、アメリカの同盟国、イギリスは2隻、フランスは1隻、本格空母を運用していて合わせれば14隻。グラス駐日アメリカ大使は「大西洋を跨ぐ米英同盟がインド太平洋の平和と自由を守る」ともSNSに書き込んでいます。
イギリスがアジアの安定の一翼を担う…アメリカはそんな青写真を描いているのかもしれません。
(「イット!」8月31日放送より)

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能勢伸之
能勢伸之

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フジテレビ報道局特別解説委員。1958年京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。報道局勤務、防衛問題担当が長く、1999年のコソボ紛争をベオグラードとNATO本部の双方で取材。著書は「ミサイル防衛」(新潮新書)、「東アジアの軍事情勢はこれからどうなるのか」(PHP新書)、「検証 日本着弾」(共著)など。