「クマはこちらの箱わなに入りました。捕獲したあとは暴れることもなく、おとなしくしていたということです」(佐藤健カメラマン)
北海道南部の江差町の畑で、クマ1頭が箱わなにかかり駆除された。
体長約1.7メートルのオスだった。

スイカ約100個食い荒らしも― 相次ぐクマの出没
駆除されたクマを乗せ、現場から運んでいく車も確認できた。
江差町では8月に入り30件以上の出没情報が寄せられ、農作物の被害が相次いでいる。
この畑でも8月19日に、スイカ約100個が食い荒らされているのが確認されていた。
「ゴロゴロに太っていた。駆除されてよかった。皆さんの心配が大きくなるから」(箱わなが設置された畑の農家)
町では今回のクマが出没を続けていた個体と同一であるか、DNA鑑定を行い調べる方針だ。
また、隣町の上ノ国町でもクマ1頭が箱わなにかかり駆除したという。

猟銃発砲めぐる新制度と不安
北海道各地でクマの出没が相次ぐ中、9月から駆除に関する新制度がスタートする。
これまでは警察官が命じた場合などを除き原則禁止だった市街地での猟銃の発砲が、市町村の判断により可能となるのだ。

それを前に8月29日、北海道猟友会の事務所ではある文書が作成されていた。
「猟友会の一人一人に責任があるので、慎重に正しく判断することが大事だと考え文書を作成している」(北海道猟友会 斉藤哲嗣専務理事)

懸念しているのは市町村の判断でハンターが発砲した際、万が一事故が起きた場合の責任の所在だ。
国に問い合わせたところ、猟銃所持許可の取り消しのリスクについては「警察庁が個別の事案ごとに判断する」という回答だった。
また、ハンターがケガをした際の対応は「市町村に民間の保険に加入し、補償するよう推奨する」というものだった。
北海道猟友会はこの内容では安心できないとして、「出動や発砲の要請を拒否してもよい」という通知を8月29日に全71支部に送った。
「市町村から依頼されると多少疑問を持っていても『わかりました』と言わざるを得ないケースが多い。駆除に参加する時どういうデメリットがあるのか把握して、出動するかどうか決めてほしい」(斉藤専務理事)

現場の葛藤と行政の対応
次々とウシを襲った「OSO18」が出没した現場に近い、北海道東部の弟子屈町の支部は。
「危険な任務をやってほしいと言われ正義感でクマを撃ったとしても、許可を取り消されたら割に合わない。現時点でハンターの出動に関しては、出したくないというのが猟友会弟子屈支部の意見」(北海道猟友会弟子屈支部 井口健作さん)
猟友会の対応に町民は。
「クマがもう人間を怖くなくなってきている」
「強制的に要請があれば、必ず出動しなければならないのは猟友会も大変」(いずれも弟子屈町民)

鈴木直道北海道知事は会見で。
「危険をかえりみず協力してもらっているので、不安に寄り添って対応していくことが大事。北海道民の安全・安心につながるので、しっかり対応していきたい」(鈴木直道北海道知事)
新しい制度の運用開始は9月1日に迫っている。
