特別天然記念物のタンチョウなど、希少な生物が多く生息する日本最大の湿原、釧路湿原。
その周辺で今、大規模な太陽光発電施設メガソーラーの工事が進み、その生態系が脅かされる恐れが指摘され、釧路市は希少生物の保全措置を義務づけるほか、ソーラーパネルの建設を制限するため、許可制にするなどの内容を盛り込んだ条例を、9月議会に提出する予定だ。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、この状況に懸念を示すアルピニストの野口健さんにも取材。そして太陽光発電の可能性と環境保護とを巡って激論が交わされた。

■アルピニスト野口さん「調査の仕方に問題があったのでは」
こうした状況に、アルピニストの野口健さんがSNSで言及した。
野口健さん(18日X投稿):こんなことが許されるのか。メガソーラーは犠牲があまりに大き過ぎる。
この投稿への思いを、「とれたてっ!」に聞かせてくれた。
アルピニスト 野口健さん:メガソーラー自体は反対していない。だけど大自然の中でやる必要があるのか。果たしてそれが本当にエコなのか。むしろ環境破壊なんじゃないのか。
野口さんは10月には専門家とともに現場を視察する予定だということだ。
アルピニスト 野口健さん:(釧路湿原は)色んな野生動物がいるかいないかを調査をして、クリアしてるんですけど、調査の仕方に問題があったのではないか。調査の仕方にもし不備があって、そこにタンチョウなど野生動物が存在していた場合に、許可されるべきなのかどうか。

■これまでの経緯
改めてこれまでの経緯を見ていく。
釧路湿原では去年7月から大阪の事業者が、およそ6600枚のソーラーパネルの設置を進めている。これはガイドラインに沿って申請済みということで、これを釧路市は受理をしている。
ただこれを受け、釧路市教育委員会は特別天然記念物のタンチョウなどに影響があるとし、意見書を提出した。
この一連の流れを受けて阿部文科相は、「開発で天然記念物の滅失や毀損のないよう、指導を命じる」としているのだ。

■環境破壊にならないようにするためには…
番組コメンテーターの住田裕子弁護士は「今後、許可制になったとしても住民や行政の意見を入れてやっていくべき」と話す。
住田裕子弁護士:現在の法令では、許可制ではなくて申請の受理ですから、その段階で別に問題があるわけじゃない。申請を受理した上で、例えば天然記念物の滅失や毀損があると、違法行為になってしまいます。環境破壊になってしまう。違法なことが起きないようにするためには、許可制をもう1回、条例で入れるなりすべき。
(Q.今から入れたところで効力はある?)
住田裕子弁護士:許可をするとしても『いまさら』という感じもするんですけど、受理した以上は。許可制にしたとしても、その中で環境評価をきっちりやっていって、そのやり方や、その量では、問題があると。
青木源太キャスター:業者はもう工事を進めてるわけじゃないですか。これで発電できずに、工事だけストップしたら損失が発生するわけですよね。それ誰が補填するんですか?
住田裕子弁護士:そういう意味でいくと、業者はそれも含めて申請したわけですよね。そしてその中で、許可性があるとして、どこまでできるかと広さも含めて考えればいいわけです。全部が全部やめるというか、オールオアナッシングじゃなくて、どこまでどういうやり方をするかっていうことが、まさに環境に対する影響調査。それをこれから、きめ細かくやりなさいと。
青木源太キャスター:これまでの事前の調査をしたとしてもそれが不十分であれば新たに調査して決定事項を変えるということ?
住田裕子弁護士:本来は事前に構想段階からしっかりとアセスメントすべきだったんですよ。それをしないまま受理をしてしまっているけれども、今後許可制にするとしても、その進め方に対してはしっかりと住民や行政の意見を入れてやっていくべきだというのが、文科省の意見でもありますよね。
石戸諭さん:その追加の段階で、例えば環境の破壊に対して懸念があるとか、事前の調査に対して、さらに新しい疑念が生まれてきたら、それに対して再度調査をしていく。その時にバランスを取っていくという、この『6600枚ソーラーパネル設置が、完全には実現できなかったとしても』というような話をしてかなきゃいけなという話なんですよね。

■メガソーラーパネルをめぐる様々な問題
メガソーラーパネルが各地で様々な問題になっているのも事実だ。
福島県にある先達山には、およそ9万6000枚の太陽光パネルがあり、光害(ひかりがい)が問題となっている。「太陽光が反射して前が見えない」、「運転中、危険」などの声も寄せられている。
そして火災も起きている。
宮城県のゴルフ場でメガソーラーの火災が起き、鎮火に22時間かかったのだ。感電の可能性もあり、消化が難航したということだ。
日本中にメガソーラーが広がり、それに伴い様々な問題が噴出してきたということにもなる。
関西テレビ 神崎博報道デスク:福島原発の事故があり、自然エネルギーの方に舵を切り、全国でメガソーラー開発を許可したが、色んなところで弊害が出てきています。
実は太陽光パネル自身もちょっと問題があり、寿命が大体今20年ぐらいと言われています。今後、廃棄の問題があります。ピークは2038年ぐらいと言われていますが、パネルの中には鉛やカドミウムといった有害物質も含まれているので、そういうものの廃棄をどうするのかというのは、これから我々も考えていかないといけない。
青木源太キャスター:廃棄まで、例えば業者に義務を負わせる上での開発には、なっていないということですか?
関西テレビ 神崎博報道デスク:そうですね。廃棄費用をその業者が担保してるのかどうかとか、その辺をちゃんとルールで決めてなかったところもあったります。
(Q.個人宅の屋根に設置されているものは?)
関西テレビ 神崎博報道デスク:ずっと永続的に発電できるわけではないので、将来的には廃棄しなければいけないが、その費用をどうするのか、その辺を考えてつけているのかは、分からないところですよね。

■日本の太陽光発電のこれから
小原ブラスさん:ただソーラーパネル発電自体が悪いものなのかってこれで判断するのは違うと思う。
青木源太キャスター:アルピニストの野口さんもそのことをおっしゃってますよね。
小原ブラスさん:例えば災害が起きたときの電源のバックアップであったりとか、他国への燃料の依存からの脱却であったりとか、必要なものは必要なんじゃないかと僕は思うんですよ。
ただ、自然を破壊してまでやることでは(ないと思うので)、僕は日本はそういう地形でもないから向いてないとは思うので、いい加減そこは法制化して、日本の太陽発電はどうするのかっていうのを決めていく段階だと思います。
石戸諭さん:『再生可能エネルギー自然やさしいいいことですね』っていうところで、今まで何となくのイメージで押し切ってきたけども、もうそれはちょっとだんだん違ってくるから、バランスをどこで取るかってことですよね。どこを再生可能エネルギーとか、太陽光発電に適したエリアとして認定していくのかとか、そういうところからも多分問われてきますよね。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年8月28日放送)
