「ナイジェリアの若者が千葉県木更津市に移住できる特別ビザ」が発給されるというナイジェリア政府の声明を海外メディアなどが報じたことについて、木更津市に問い合わせが殺到するなど混乱が生じました。

これについて関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した、ロシア出身で兵庫県姫路市育ちのコラムニスト小原ブラスさんが「移民への不安を抱いている国民に対して、政府が移民を受け入れるのか、受け入れないのか態度を鮮明にしていないことが背景にある」と述べました。

■ナイジェリア政府が「特別ビザを日本政府が創設」声明 BBCなども報じ…

8月21日に開催された「TICAD」=「アフリカ開発会議」にあわせて、JICA=国際協力機構が公表した『ホームタウン構想』。

千葉県木更津市は4年前の東京オリンピックでナイジェリアの選手たちと交流を深めたことを機会に、ナイジェリアのホームタウンに認定されました。

このことを巡って、ナイジェリア政府は「才能のあるナイジェリアの若者が木更津市で暮らし、働くための特別ビザを日本政府が創設します」という声明文を発表。

この発表をイギリスのBBCや地元紙が相次いで報じ、ナイジェリア人らしきユーザーからはSNSに歓迎する投稿が寄せられました。

【SNSの投稿より】「日本が国内でナイジェリア人が暮らすための街をくれるみたいよ」
【SNSの投稿より】「日本は人口が減っているらしいから、僕たちが助けてあげよう」

一方、木更津市役所では、海外での報道は本当なのかという問い合わせがやまず、およそ10人の担当者が昼休みもなく対応するほどの事態に。

木更津市が受けたホームタウン認定その真意はどこにあるのでしょうか。

【木更津市 渡辺芳邦市長】「外務省とかJICAがどこまで認識してたのかわかりませんけれども、我々が移民の話とかそういうことを要請も全くしてないですし、つもりもございませんでしたので、そんなことになったのがびっくりしています」

特別ビザの発給をするという話はなく、市がホームページで示している通り、スポーツを通じた人材育成に取り組むことが本来の認定内容だといいます。

【木更津市 渡辺芳邦市長】「向こうで野球の教室をやってるんで、それを広く展開をしていくために3年間お金をもらって展開するって話に対して、木更津のいろんな資源も野球の資源もぜひ使っていただければいいですねっていうことで」

(Q.何かおかしなことになってるぞと気づかれたのって、どういうシーンだったんですか?)
【木更津市 渡辺芳邦市長】「『何か変なことになってるよ』っていう友人からの連絡で、事実でないことがYouTubeで広がり始めて、『SNSは怖いな』ということを改めて感じました。

渡辺市長は今回の騒動を経ても、「どうか外国人に嫌悪感を抱くことなく、支えあえる市でありたい」と訴えました。

■ロシア出身・小原ブラス氏「移民受け入れする・しない 国が指針示さないと」

ロシア出身で、兵庫県姫路市育ちのコラムニスト小原ブラスさんは、「移民など外国人政策への不安を受け止めない日本政府の問題がある」と指摘しました。

【ロシア出身 小原ブラスさん】「ナイジェリア政府や現地メディアなどの発信による混乱、『移民がたくさん来るんじゃないか』っていう不安があるのだと思いますが、根底にあるのは、移民の受け入れを『とにかく反対しているんだ』っていう(立場の人の)声を、ちゃんと政府・国が吸い上げてくれているのかっていうことが、いまいち国民に伝わっていない、国民が理解できていないっていうところが大きいと思うんですよ。

自民党だって、これまで『移民の受け入れはしません』と言って、技能実習制度をやったりとか、似たような政策をいろいろやってきている中で、『嫌だ、反対だ』っていう声を、受け入れられない、聞いてもらえないと。そのまま進んでいる現状に、とにかく不安な人がいっぱいいるんですね。

なのでこれは木更津市だけの問題じゃなくて、日本は『移民受け入れをやるのか、やらんのかどっちなん?』ていうのを、はっきりと国として指針を示さないとずっとこういう問題が起こりますよ」

■過熱しやすい「外国人政策」

フェイクニュースなどを研究し、SNSに詳しい、国際大学グローバル・コミュニケーションセンターの山口真一准教授によると「不安や驚きを喚起する情報は人々の目にとまりやすく、真偽を確認する前に共有されてしまう傾向にある。特に外国人関連の話題は熱量の高い人が多く、回は現地政府の発表や報道が混乱のきっかけとなり、SNSで一気に拡散した」ということです。

【青木源太キャスター】「先日の参院選もそうですけど、外国人関連の話題って今本当にセンシティブというか、注目が『ガーッ』と集まる側面がありますね」

【ロシア出身 小原ブラスさん】「SNSだと情報がたくさん省かれたものが上がるので、日本の人が外国人がどういうビザで滞在しているのかであるとか、外国人が滞在する理由とか、そういうものを全く理解されていないなって普段から感じます。

例えば僕も、日本の人に平気で『ブラス、日本の人と結婚して日本国籍取得したらええやん』っていうようなことをよく言われるんですけど、これは偽装結婚になる恐れもあって、ダメですし、そもそも結婚して日本国籍が取得できるもんじゃない。そういう細かい知識があまりにもないまま、(SNSなどで)過剰に広まる。

そういう現状によって、外国人がさらに叩かれ、叩かれた外国人は日本を嫌いになる。そうしたら、地元住民とぶつかり合いになるっていう、負のスパイラルが起こりまくって、僕も住みづらいですね」

■ノンフィクションライター石戸氏「日本のためになるという説明必要だった」

ノンフィクションライターの石戸諭さんは、外国人政策を巡る議論は「『過熱しやすい話題である』と認識したうえで、もともとのテーマであったアフリカの開発への協力について、国などが『日本の利益になる』ということなど、丁寧な説明をすべきだった」と指摘ました。

【ノンフィクションライター 石戸諭さん】「今回の件ってアフリカ開発会議の話題から広がっていますよね。これって、『なぜこういう会議を日本でやっているのか』という説明が不足していたところも、背景にあると思うんです。

『日本は特に資源がない国で、アフリカは資源大国です。ここに対して世界各国が今、開発に向かっています。日本だってそれをやります。それはなぜやっているのかって言ったら、日本の将来のため、日本の子供たちのためです』っていうような説明をしていかないといけなかったのに、それがよくわからない、『もっと日本人のために金使え』みたいな受け止めになるような説明になっちゃっているところは、変えてかなきゃいけなかったと思います」

【ノンフィクションライター 石戸諭さん】「この手の話題は、特に今すごく燃えやすい。すごいセンシティブな状況にもなってしまっているから。それも現実のものとして受け入れていかないといけないし、そこに対するちゃんとした発信っていうのは一体何なのかっていうところを問い直していかなきゃダメですよ」

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年8月28日放送)

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