地下水涵養を目的にした整備は熊本県内の自治体で初めてです。

半導体関連企業の進出が相次ぐ菊池郡菊陽町が先日、役場の敷地内に『雨庭』を整備。
関係者にお披露目されました。

【菊陽町 吉本孝寿町長】
「この菊陽町の至る所でこの雨庭の景色が見られるようになれば、非常に素晴らしいことなのかなと思っている」

今月8日、菊陽町役場の正面玄関脇に完成した『雨庭』。
菊陽町と町の造園協会が共同で整備しました。

雨庭は、屋根などに降った雨を水路に直接流さず浅いくぼ地に一時的にため、地中に浸透させる植栽空間です。
河川に雨水が一気に流れ込むのを抑え、洪水を防ぐ効果があります。

2020年の7月豪雨をきっかけに、熊本県立大学や肥後銀行など産学官でつくる
『くまもと雨庭パートナーシップ』が県内での普及に取り組んでいて、県南地域を中心に流域治水の一つとして整備が進められています。

【熊本県立大学・島谷幸宏特別教授】
「雨庭は小さな施設なので、いろいろな場所に整備できるというメリットがあって、
(整備することによって)洪水も防ぎ、地下水も豊かにし、景観もよくなる」

また、半導体関連産業の集積に伴い、熊本都市圏で課題となっている地下水保全の観点からも雨庭に熱い視線が注がれています。

【菊陽町 吉本孝寿町長】
「JASMの進出によって非常に地下水の涵養が課題になっていて、地下水を守るということは、町がやらなければいけない一番の事業だと思う」

今回、菊陽町が整備した雨庭は約16平方メートルで、役場の屋根に降った雨の一部が雨どいを伝って流れ込みます。

砂利や木材チップの敷き詰められたくぼ地の土壌には、水はけの良いボラ土と菊池地域の牛ふん堆肥を混ぜたものを使用。
地中に雨水が染み込みやすくする工夫が施されています。

熊本県造園建設業協会の熊本グリーンインフラ研究会が監修し、菊陽町の造園協会が
施工しました。

【熊本グリーンインフラ研究会プロジェクトリーダー 米岡伸一郎さん】
「今後、雨庭が広がっていけば担い手育成にもなるので頑張っていきたい」

この日は、雨庭の周りに関係者が樹木を植え完成を祝いました。
町によりますと、この雨庭によって年間約200トンの地下水涵養が見込まれるということです。

なお、県内の自治体が地下水涵養を目的に雨庭を整備するのは、菊陽町が初めてとなります。

【熊本県立大学 島谷幸宏 特別教授】
「いろんな人の力で熊本の地下水を守るというところにつなげていけることが、非常に重要かなと思っている」

テレビ熊本
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