玉名郡南関町にある老舗の竹の箸メーカー『ヤマチク』が、短編映画『いただきます』を製作しました。
その撮影現場に密着。
関係者の思いに迫ります。
5月16日、玉名市で開かれた短編映画『いただきます』の製作発表会です。
南関町で、竹の素材を生かした箸を製造・販売する『ヤマチク』がプロデュースしました。
【ヤマチク 山崎 彰悟 代表取締役】
「最近、個人的に衝撃のニュースを拝見して、要は『〈いただきます〉はキモイ』と。『なんで言わなきゃいけないんだ』」
【ヤマチク 山崎 彰悟 代表取締役】
「『言っても別に届くわけないからなんか偽善っぽい、意味ない』
『お金払ってるから別に言わなくていい』。
私はそうは思いませんでした」「〈いただきます〉という所作は〈私たちは一人じゃないよ〉〈一人で生きているわけじゃないんだよ〉ということを教えてくれる大事な所作じゃないかなと」
【撮影が始まる様子】
「ヤマチクの作り上げる短編映画『いただきます』クランクイン。よろしくお願いします」
アパートの1室で始まった短編映画『いただきます』の撮影。
監督は、熊本市出身の映像作家、中川 典彌さんです。
キャスティングは熊本出身にこだわったそうです。
主人公・涼太を、菊池市出身の俳優、岡田 蓮さんが演じます。
涼太の母親役は、熊本市出身のフリーアナウンサー村上 美香さんです。
就職のため熊本から上京した主人公・涼太の元をある日、突然、母が訪ねてくるシーンから始まります。
せっかく東京まで母が訪ねてきたものの、「予定があるから」と外出する涼太。
アパートに残された母が作り置きした料理をきっかけに、涼太は幼い頃を思い出します。
『いただきます』という言葉が、すれ違った親子の絆を取り戻すストーリーです。
この日は、涼太の実家でラストシーンの撮影が行われました。
【撮影の様子】
親子「いただきます」
監督「いただきました!」
完成披露の上映会は今月3日、熊本市で開かれました。
本編25分の映画は、上映会の直前にようやく完成。
出演者も初めて見たそうです。
【ヤマチク 山崎 彰悟 代表取締役】
「蓮君、どうでしたか」
【主人公/涼太役 俳優 岡田 蓮さん】
「年齢を問わず『いただきます』を言うことによって心が温かくなるのを感じました」
エンドロールには、さまざまな人たちの『いただきます』が…。
【母親役/村上 美香さん】
「映画の本編も、(本編が)終わってからも、クラウドファンディングでみなさんが『いただきます』と言うところがあるじゃないですか。
〈なんて美しい仕草で、なんて美しい言葉なんだろうな〉とさらにこみ上げてくるものがありました」
【エンドロールに出演 河島 大地さん】
「家族みんなで撮った。『いただきます』と何となく言っていたのを、改めて『いただきます』ってどういう意味か家族で考えて、『いただきます』という言葉を言えたので、僕らにもとても勉強になったいい機会だったと思います」
映画の製作費を集めるためのクラウドファンディングでは、製作費の半額200万円を目標にしていたところ、わずか1週間で達成。
最終的には、約600万円が集まり、多くの人たちが協力して映画は完成しました。
【親子で鑑賞した(母)古庄 さとこさん】
「感動しました。自分と重ね合わせたりしながら素晴らしい作品に出合えて、うれしいです」
【親子で鑑賞した(娘)中島 日菜子さん】
「東京に大学卒業してから行って〈母も料理を作ってくれていたな〉とか思って、泣いちゃいました。(監督の)中川 典彌さんの映像がすごく好きで、すごく美しい映像を熊本で撮っている。〈私もそういう人になりたいな〉と思って」
【映像作家・中川 典彌監督】
「〈家族愛とか大切な人の存在が、いかに自分たちにとって心の拠り所になったり、生きていく希望になるのか〉と伝えたかった。
〈家族愛〉が今回の映画の大きなテーマになっています」
【主人公・涼太役 俳優 岡田 蓮さん】
「〈お母さんがご飯を作ってくれたり、目の前にご飯が出るのが当り前じゃない〉と
見ている人に思ってもらえたらうれしいです。『いただきます』『ごちそうさま』の大切さを伝えたいなと思います」
日頃、食事の際に何気なく口にする『いただきます』。
その言葉を通して、家族の愛情を描き、日本が誇る文化の大切さを届ける映画です。
この映画『いただきます』は『箸の日』にちなんで、今月4日からYouTubeに
公開されています。