8月26日は114年前、浅間山に日本で初めて火山観測所がつくられた「火山防災の日」です。内閣府が富士山の噴火を想定したCGを公開し、被害と備えを考える大切さを呼びかけています。

世界の7%にあたる111の活火山がある日本列島。

内閣府は火山災害について知ってもらおうと、富士山の噴火を想定した映像を作成しました。

内閣府:
もし富士山で大規模噴火が発生したらどのようなことが起こるのでしょうか。大規模噴火が発生した場合に起こる可能性のある火山現象を見てみましょう

富士山で大規模な噴火が発生した場合、無数の大きな噴石が飛ばされるほか、溶岩流や時速100キロを超える火砕流、積雪時には融雪型火山泥流が発生すると想定されています。

そして「降灰」。

風向きによって富士山から約100キロ離れた東京都新宿区でも細かな火山灰が降り、2日後には5センチ以上に達します。

灰に雨が降ると水を吸って重くなり、木造家屋が倒壊するおそれがあります。

3センチ以上降り積もると車は通行不能に。

電車もわずかな降灰で通電不良を起こして運行できなくなります。

人の移動、物資の輸送に大きな影響が出ます。

ほかにも断水・停電が発生し、噴火から15日目、降灰の影響は首都圏全域に及ぶと想定されています。

内閣府は3月に降灰の量に応じた4段階の行動指針を公表しました。

また、「物流の停滞に備え、食料品などを備蓄してほしい」と呼びかけています。

専門家は動画制作は「意義深い」としつつも「静岡県の人には不十分」と話します。

静岡大学火山学・小山真人 名誉教授:
大規模噴火にも2つあって、1つは溶岩が大量に湧き出すような噴火を富士山はする。その場合は大規模と言っても局地的になる。内閣府や東京都が言っている大規模というのは爆発的な噴火。つまり江戸時代に起きた宝永噴火。あれを想定しているので広域に火山灰を降らせることになる

静岡大学火山学・小山真人 名誉教授:
溶岩を流したり、火砕流を出したり、融雪型火災泥流を流す噴火は静岡県の山麓の市町に直接の影響があって避難しなければいけない。それは今回の首都圏・内閣府や東京都では強調されていない。ハザードマップをしっかり見てそこに書かれている現象にきちんと対策をして、避難する時は避難してほしい

噴火口がどこにできるかによりますが、富士・富士宮・裾野・御殿場には住宅街の広い範囲に溶岩が流れ下るおそれがあります。

沼津市と長泉町の間を流れる黄瀬川の観光名所「鮎壺の滝」。

ここはかつて溶岩が流れた端にあたり、冷えて積み重なった岩盤を見て取れます。

大規模な噴火が起きればここまで溶岩は流れます。

気象庁は県内の火山では富士山と伊豆東部火山群について24時間の観測体制を取っていて、いまのところ富士山に異常は見られません。

静岡大学火山学・小山真人 名誉教授:
奈良・平安時代に関しては数十年に一度は噴火していたが、中世に入ってからはかなり間延びしています。200~300年休むことを繰り返してきて宝永噴火(1707年)から大体320年という状態なので決まった周期というのはない。低周波地震と言って、地下のマグマとかそれに関連した地震が地下深くで定常的に起きているのでマグマが生きていることは間違いなく言える。それが上に向かって移動するかどうは見ていないと分からない。いまのところそのような様子はない

富士山麓の市町では住民が参加する避難訓練や説明会などがくり返し開かれてきました。

身近な場所でどんなことが起きるのか。

ハザードマップの確認と合わせ、家族や地域で避難先や対応について確認しておくことが必要です。

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。