静岡県内の医薬品製造会社がカプセル技術をいかし、世界で初めて宇宙にアロマを届けることに成功しました。どんなアイテムを考案したのか。そして、宇宙進出を夢見た社員の思いとは。
日本時間8月24日午後3時45分、打ち上げられたロケット。
そこに積まれていたのが県内の企業が考案した「香るアイマスク」です。
手掛けたのは富士市や富士宮市に拠点を置く三生医薬。
サプリメントや医薬品の製造を行っている企業です。
開発のきっかけはある社員の好奇心でした。
三生医薬研究開発本部・奈良未沙希さん
今は地球に人間は住んでいるが、いつかは宇宙に住んだり旅行したりするから宇宙でカプセルを使えたら面白いとずっと思っていた
新規事業開発を担当する研究開発本部の奈良未沙希さん。
薬などを詰めるのに使うカプセルが宇宙でも役に立つのではと考えていました。
そこで思いついたのがアロマをカプセルに閉じ込め、宇宙飛行士に届けること。
JAXAが主導する企業連携プロジェクトに仲間入りしました。
綱ぎ目のない直径4ミリの小さなカプセルに天然由来のアロマオイルを密封しますが…
三生医薬研究開発本部・奈良未沙希さん:
宇宙に持っていくには安全性が厳しい。(JAXAから)このカプセルは予想しないタイミングで割れるおそれがないことをデータで証明するよう言われた
他の企業と共同で素材や構造の安全性を3年かけて検証し、フェルト生地の中でカプセルを潰す方法にたどり着きました。
三生医薬研究開発本部・奈良未沙希さん:
こちらのカプセルに香りが入っている。半分に折って指でつぶすと香る
カプセルを入れたアイマスクを試してみると…。
鈴木櫻子 記者:
ヒノキの良い香り。森林浴をしている感じ
密閉された空間のため、においがこもりがちで24時間照明がついている宇宙ステーション。
宇宙飛行士の睡眠の悩みに寄り添うアイテムが完成です。
そして8月24日。
自慢の技術が宇宙へと旅立ちました。
三生医薬の男性社員:
自分たちの会社のカプセルが宇宙に行くと想像していなかった。きょうはすごく緊張した。実際打ち上がって、宇宙飛行士の役に立てれば
社員の子供:
(宇宙飛行士に香りを)ずっとかいでいてほしい
三生医薬研究開発本部・奈良未沙希さん:
宇宙分野ではもちろん、いろいろな分野の方にこのカプセルを使って貢献できたら
県内企業の技術が生んだ小さなカプセルが宇宙へ。
アイマスクは宇宙ステーションに滞在している油井亀美也 宇宙飛行士の元に届けられます。