秋の訪れを告げるリンドウが咲き始めた福島県・吾妻山の浄土平。
8月26日は、福島市で最高気温35.3℃と猛暑日となるなか、標高約1600メートルの浄土平は21℃だった。登山客は「東京の温度から見れば考えられないくらい涼しくて行動しやすい」と話す。
ところで、8月26日は日本初の火山観測所が設置されたことを受けた「火山防災の日」。吾妻山も、2018年から翌年にかけて小規模な噴火が発生するおそれがあるとして、噴火警戒レベルが引上げられ大穴火口から1.5キロの範囲で立ち入りが規制された。
なかなか日常と結び付きにくい火山防災だが、吾妻山で最大規模の噴火が起きた場合、火山灰は市街地にまで降り積もり、地面にしみ込めなくなった雨水が谷に集まって土石流が発生する可能性もある。
また、冬に大噴火が起きた場合には、熱で大量の雪が解けて低い場所へと流れ込み、大人のひざ上や身長を超える高さにまで浸水する恐れがある。
吾妻山の大穴火口から約750メートルに位置する「浄土平ビジターセンター」。噴火が発生した場合に備え300人分ほどのヘルメットやゴーグルなどを準備しているが、これからの紅葉シーズンは一日に1000人以上の観光客が見込まれることから「日頃の心構え」を呼びかけている。
浄土平ビジターセンター西村真一さんは「特に火山の麓である福島市や周辺に暮らしている方には、一年中火山の麓で生活している意識を持っておかないといけない。いざという時に、どう避難したらいいか考える必要はある。『火山防災の日』をきっかけに考えて頂ければ」と語る。
台風や大雨よりも意識することが少ない「火山防災」だが、この機会にハザードマップなどを見直してみてほしい。