版画家・板祐生さんが収集した、戦前の中国東北部に作られた旧「満州国」に関する資料を集めた展示会が、出身地の鳥取県南部町で開かれています。
この資料展は終戦80年に合わせて南部町出身の版画家・板祐生さんの収集資料を所蔵する「祐生出会いの館」が開きました。
会場には、祐生さんのコレクションのうち、現在の中国東北部にあった旧「満州国」の歴史を理解する貴重な手掛かりとなるポスターなどの資料192点が展示されています。
祐生出会いの館・中尾慶治郎副館長:
満州にいました日本軍の關東軍は、鉄道爆破を自作自演して、中国側の攻撃だと偽って全土を制圧の暴挙にでたわけです。大変貴重なものなんですが、日本は戦争に負けました。こういう資料はほとんど処分されて、これだけきれいに残ったものは無いと。
旧「満州国」は戦前の1932年に建国。1945年8月に日本の敗戦とともに消滅しました。
旧「満州国」の統治の理念として掲げられた「王道政治」に、現地の人々にあがめられていた女神「娘娘(にゃんにゃん)」を結び付けたポスターには、満州建国が国際的に認められないなか、反日、抗日の感情を和らげる意図が込められていました。
このほか、アヘンの禁止やスポーツの振興、国土緑化などの政策を訴えるポスターもあり、当時の国家建設の足取りも見ることができます。
祐生出会いの館・中尾慶治郎副館長:
満州国は、日本の傀儡政権であったことは間違いないですが、それぞれの部署においては、国づくりをする努力がそれなりにはなされていたことは分かります。合わせて見ていただいたらと思います。
この資料展は、10月6日まで南部町の「祐生出会いの館」で開かれています。