日米関税交渉で合意した5000億ドル、日本円で80兆円にも及ぶ日本からアメリカへの投資。
これまで合意文書が作られていないことが野党から問題視されていました。
立憲民主党・野田代表:
文書を作らなかったら、(トランプ政権は)どんどん拡大解釈をして日本はぼられ続けるのでは。
石破首相:
合意文書を作るメリットもある。デメリットもある。それはデメリットの方が大きい。わが国の国益にならないので、合意文書を出さない。
また、交渉を担当した赤沢経済再生担当相も、日本にとって関税引き下げの大統領令を早くアメリカ側に出してもらうことが重要だと説明してきました。
赤沢経済再生相:
合意文書を作るよりは大統領令を早く出してもらって、わが国の全く遊びのない、ピン留めする必要もないぐらい明確な15%という関税率を早く実現してほしい。
しかし、こうした日本政府の方針が一転し、アメリカ側の求めに応じて合意した内容をまとめた共同の文書を作る方針であることが関係者への取材で分かりました。
アメリカへの80兆円の投資を巡っては、トランプ大統領が「アメリカが利益の90%を得る」と主張する一方、日本側は「民間企業などによる投資を、政府系金融機関が出資や融資などを通じて支援する枠を示している」としていて、認識のずれが指摘されています。
こうした中、アメリカのラトニック商務長官は25日、FOXニュースの番組に出演。
今週の後半に、日本との合意に関する新たな発表を行うことを明らかにしたのです。
日本政府はアメリカの要請を受けて方針を転換し、合意文書を作成するのでしょうか。
赤沢大臣は26日の会見で自身の訪米予定はないと述べ、明言を避けました。
赤沢経済再生相:
現時点で私の(米国への)出張が決まっているという事実はございません。ラトニック商務長官のFOXニュースでの発言は承知してます。米国の政府関係者が発信されたことについてコメントすることは差し控えたい。
赤沢大臣は、これまで日米間で共同文書を作成していないとした上で、「私自身の認識は、共同文書を作りたい、あるいは作ることにメリットを感じるのは日米間どちらかといえば米側だと思う。そのことは申し上げておきたい」と述べました。
トランプ関税を巡って今後、日米間でどのような駆け引きが行われるのでしょうか。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
アメリカ側はこの投資で数十万人の雇用が生まれ90%の利益を得るとして、大きなディールだったとアピールしているが、アメリカ側が9対1の利益配分を追求するなら、相応の負担などをしてもらわないといけないというのが日本側の立場。主張に隔たりが指摘される中、はっきりさせないまま、きょうまで来たというのが実情。ボタンの掛け違いとも言える状態を双方が納得する形で解消させられるのか。難度が高い調整作業になる可能性がある。