プロ野球、福岡ソフトバンクホークス。借金7からの超V字回復。貯金も増加中、パ・リーグ優勝へ向け“手応えの夏”となっている。勝負の9月を前に、小久保裕紀監督(53)に単独インタビューした。

有原・モイネロ・大関 2桁勝利の先発3本柱

「先発投手がしっかりゲームを作る試合が多くて、リードしている試合で逆転される可能性が限りなく低いというのは、戦いの積み重ねですからね。そこが一番の要因だと思います」と分析する小久保監督。7月が勝率7割7分、8月も高い勝率を支えている一番の要因は、やはり投手陣だと語る。

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先発は、有原航平投手(33・10勝7敗)、リバン・モイネロ投手(29・10勝2敗)、大関友久投手(27・11勝3敗)の2桁勝利トリオに加え、上沢直之投手(31)も9勝(6敗)をあげ好調を維持している。

リリーフ陣も安定感抜群だ。救援陣の防御率は、リーグ2位の2.24(8月22日現在)の数字を残している。

今宮選手の復帰「チームが落ち着く」

一方、主力離脱の打線も次世代選手で再編成。その打線の今の状況について小久保監督は「近藤の状態がね、まあまだ(1試合)全部、守れないですけど、DH(指名打者)でほぼ全試合、出られる状態にはなってきている」と語る。

さらに「いつも見られている景色に健太が入ると『チームが落ち着くかな』とみていた」と語るのは、守備の要、今宮健太選手(34)の復帰だ。脇腹を痛め戦線を離脱していた今宮選手が、約2カ月ぶりに1軍に戻って来た。

小久保監督もベテランの復帰を喜んでいるが、これから迎えるシーズン終盤へ向けて「あとは栗原をいつ復帰させるかっていうのは、近々の課題で…」と名前を挙げたのは栗原陵矢選手(29)だ。

「栗原が帰ってきて、9月ね、1ヶ月“無双”やったらチームが優勝に大きく近づいていることになると思います」

ラッキーボーイ? “ドラ1”前田悠伍投手

そしてこの7、8月で最も印象に残っている試合を尋ねると「まあ、楽天戦(7月13日)ですね」と答えた。「3連敗した後のピッチャーが前田悠伍やったので」と振り返る。

前田悠伍投手(20)は、2023年ドラフト1位。7月13日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦に先発し6回無失点で抑え、プロ初勝利を挙げている。

「楽天戦との今シーズンのその相性を見ても、ちょっと厳しいなと思った試合を勝てたっていうね。最後、代えようと思ったときにトリプルプレー(※1度にスリーアウト取ること)で終わって。その試合、勝ったんですよね。だからあそこはね、結構ね、息を吹き返した、そのポイントになった試合だったと思いますね」

ホークスは、その試合からオールスターを挟んで10試合負けなしだった。

その強さは、首位を走っていた北海道日本ハムファイターズにくらいつき、その後の首位奪取に繋がる勢いだった。

2年目の余裕「ええ試合やな」

この頃からベンチの小久保監督に変化が見られるようになった。7月半ばぐらいから、ベンチの中で、例えばピンチの後など、いろんな場面で監督の表情が柔らかいときが多くなったように見られるのだ。

「それはちょっと意識してやっていますね。あとは前回の日本ハム戦のときもそうでしたけど、やっぱり『ええ(良い)試合やな』って自分で思ったんでね。闘ってるチーム同士の、その必死さとかドラマとか、やっぱりこう、野球っていいなっていうものを感じる試合のときは、そういう表情が出たんじゃないですかね」

小久保監督が語るのは7月30日。首位攻防のファイターズ戦。ホークスが1点リードの8回裏2アウト2塁1塁。ファイターズの新庄剛志監督(53)は1塁に代走を送り、小久保監督はライトの守備を変更。そして打席には清宮幸太郎選手(26)。

セオリー通りなら、勝ち越し点となる1塁ランナーは返さないように外野守備は深く守る。しかし試合は終盤8回、ホークスのリードは1点。外野は前進守備をとった。そして2ボール1ストライクからの4球目。清宮選手の打った打球は、守備の替わったライトへ。ライトが飛びつくも僅かに届かず右中間を抜ける逆転タイムリースリーベースとなった。そのときのベンチの小久保監督の表情は笑顔だった。

「『あそこで清宮、打つか』っていうね。しかも守備位置も結構、こっちは、ギャンブルしていたんで、直感的なものが冴え渡ってたなみたいな。セオリーじゃない守備態勢をとっていたんでね。だからそんなことも諸々含めてですね。それはそういう表情だったんですけど、それはファンのやっぱり心にも響いているんじゃないですかね。(意識して?)そう、敢えてそういう表情をしているっていう場面もいっぱいありますけど、日本ハム戦のときの逆転されたときはそういう心境でした。『あー、ええ試合しているな』っていう心境でしたね」

同学年の新庄監督と熾烈な戦い

同じ時代、現役で対峙した同学年の小久保監督と新庄監督。南と北のチームが繰り広げる白熱の勝負。8月22日からの敵地、北海道のエスコンフィールドでの3連戦。今回、ホークスは3タテをくらい、見事に“リベンジ”された。2位のファイターズとのゲーム差は僅かに0.5。まだまだ熾烈な戦いは続く。

北海道日本ハムファイターズ 新庄剛志監督(53)
北海道日本ハムファイターズ 新庄剛志監督(53)

「(この先、敢えて意識するカードは)やっぱりハム戦ですよ。9月の頭だけ6連戦なんで、そこで1回またローテの編成もやりながら、そのあと飛び飛びの日程で、どう持っていくか。最後まで決めているわけではないんですが、前もって準備できることっていうのは、やっぱりローテーションをどう組んでいくかっていうことが一番、大きなポイントなんでね」

白熱するパ・リーグのペナントレース。熱い戦いはいよいよクライマックスを迎えようとしている。

(テレビ西日本)

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