プロ野球NPBイースタンリーグのオイシックス新潟アルビレックスBCは12月18日、今季まで読売巨人軍の2軍監督を務め、新たに球団のチーフベースボールオフィサーに就任した桑田真澄さんの会見を開いた。桑田CBOは「日本野球界の発展が最大の目標」と意気込んだ。会見の全文を紹介する。

桑田CBO起用の理由

池田拓史 社長の挨拶:
私ども、オイシックス新潟アルビレックスベースボールクラブは元々アルビレックス、サッカーの男子がスタートでございまして、色んな競技、バスケットですとか、陸上ですとか、サッカーの女子・バスケットの女子等々、様々なクラブがございます。

池田拓史 社長/桑田真澄CBO/武田勝 監督
池田拓史 社長/桑田真澄CBO/武田勝 監督
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そういった中で私ども、2006年8月に会社を設立をいたしまして、2007年に開幕をいたしました。北信越BCリーグ、現ルートインBCリーグの創設とともに誕生した球団でございます。BCリーグ初年度、新潟・信濃・富山・石川の4球団でスタートいたしまして、2023年まで17年シーズン在籍をさせていただいておりました。

そして、皆様、ご存知いただいております通り、2023年春にNPBのファームリーグ拡大構想ということで公表がございまして、私どもそこに向かってチャレンジをさせていただきました。

7月に書類等を提出させていただき、9月29日に内定、11月22日に正式に新規参加という形で、2024年シーズンからファームリーグの舞台で戦わせていただけることになって、ちょうど今2シーズンが経過をしたというところでございます。

2023年のファームリーグに新規参加のタイミングで、NSGグループとオイシックス・ ラ・大地様、また球団という形で、スポンサーシップ、資本提携契約という形で共同経営体制という形になりまして、2年間新たな体制で球団の運営の方させていただいているというところでございます。

そして、この度ご縁がございまして、桑田真澄さんの方に、チーフベースボールオフィサーという形で2026年シーズンより、お力添えをいただけることになりまして、大変嬉しく、また心強く思っております。

このCBOの担っていただく役割につきまして、簡単に冒頭お話をさせていただければと思いますけれども、球団をより多くの方に愛される強いチームにしていくということで、私どものオイシックス新潟アルビレックスBCのオリジナルのブランドの構築と言いますか、そういったこう球団をですね、さらに磨いていくために、多面的な形で桑田さんのお持ちのご経験、知見を球団に注入していただければというふうに思っております。

来シーズン、高い目標ではございますが、球団として勝率5割以上でAクラス、そして入場者数が今年平均で1673人でございましたけれども、来季は3000人、そして毎年この球団から5人の選手が、NPBはもちろん、海外のリーグも含めてステップアップをしていけるような輩出実績を積み重ねてまいりたいというふうに思っております。

そういった形で、このオイシックスメソッドと言いますか、我々の球団独自の選手の育成、球団の発展というところに、桑田CBOのお力を全面的にお借りしながら、この球団を盛り上げてまいりたいと思います。簡単ですが、冒頭の球団のご紹介と、桑田CBOに担っていただく役割等についてのお話とさせていただきます。

オイシックスCBOのオファーを受けた理由

桑田真澄CBO:
皆さん、こんにちは。桑田真澄です。また新たな挑戦をしたいなと思い、契約に至りました。微力ですが、全力を尽くしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

桑田真澄CBO
桑田真澄CBO

Q.CBOのオファーを受けた理由は?

ジャイアンツを退団し、来年はちょっと充電期間というか、ゆっくりしようと思っていた。メジャーリーグの視察に行って情報をアップデートしたり、ワインづくりとかお米づくりとか、そういったことをしながら野球会全体を見て充電しようかなという思いでいたが、高島会長はじめ池田社長、そしてフロントの皆さんから熱心に誘っていただいて、彼らの熱い思いに心打たれて、新たな挑戦をしてみようというところに行き着いた。

Q.桑田さんはこれまでプロ野球選手・指導者としてだけではなく、大学院での研究や様々な分野での講演活動など幅広く活躍されている。今後はこれまでの経験や知見を球団運営や育成において、どのような形で生かしていきたい?

オイシックスはNPBに参入して2年目という非常に若い球団。資金力、そして戦力も劣ることは否めないと思う。特にジャイアンツと比べたら、もう雲泥の差があると思っている。ただ、新しいこの若い球団で僕自身が新しい挑戦をすることで、日本野球界の発展につながっていくのではないかなという思いもあり、今までの自分の経験と大学院で学んだことを活かしながら貢献していきたいなと思っている。

Q. オイシックス新潟アルビレックスBCは独立リーグからNPBファームリーグに参加したチームで、今までの環境とは大きく異なる挑戦となる。この新しい舞台での挑戦について、CBOとしての決意、そしてどのようなチームをつくっていきたい?

僕一人が来たから急に強くなるというわけにはいかない。やはり、勝負の世界で長年生きてきたので、厳しさというのもよく分かっているし、戦力的に見ても非常に苦しいと思う。しかし、若い球団だからこそ、チームの文化をしっかりつくって、そして育成システムを構築し、選手の強化を短期・中期でやって、長期的には勝てるチームに育てていきたいなと思っている。

チームへの関わりは?

Q.このオファーを受けるにあたって、高島会長らから熱い思いを聞いたと。そこにも感銘を受けたかと思うが、特にどの部分に共感した?

もう全て。そして、しっかりとビジョンを持たれているというところが、特に僕は心をひかれたというか、そのビジョン達成のために力になりたいなと思った。ここ(資料)にビジョンも書かれているので、すごいな、しっかりと目標を立てているんだなと思って。きちっとした数字も入っているので、力になりたいなと思った。

Q.桑田さんはこれまで、選手に寄り添うということを指導の際に大事にされてきたと思う。今回、CBOという立場になって「新潟の皆さんに応援されるチームにしていきたい」とコメントされていたが、どういう形で選手やチームに寄り添っていきたい?

当然、現場にも行くので、武田監督はじめ、コーチの皆さんにも寄り添いながら、そして選手にも寄り添って、技術力向上に向けて、そしてチーム力強化に向けて、対話を大事にしながらやっていきたい。そういう寄り添い方。

あとは、フロントもそう。収益を拡大していかなければいけないと思うし、ブランド力の構築と認知度向上、これも球団として上を目指さなくてはいけないことだと思うので、フロントの方ともしっかりと面談をしながら、また時には池田社長・高島会長とも話し合いをして前に進んでいきたいと思っている。

Q.「オイシックスのような若い球団が成長することで球界の発展につながる」とコメントされていたが、将来的に長い目で見たときに、オイシックスがこの日本球界に与える価値というのは、一言で表すとどういう部分?

先ほどから文化づくりと言っていたが、何年も歴史のある球団だと、“こういう感じで”というのがある。新規参入した球団だから、これから球団経営とか、育成システム方針とか、チーム強化策とか、新たな試みができると思うし、今の時代に即した、時代にあった文化づくり・チームづくりをして、中長期的に強いチームに成長できるようにしていきたいなと思っている。オイシックスが強くなっていく過程を見ながら、また新しいチームが参入してきたりして、野球界の発展につながっていけたらいいなと思っている。

「練習、練習、練習では上手くならない」

Q.実際に現場に来られて、どのようなことをされるか明確にまだ決まっていないところも多いと思うが、桑田さんとして新潟の方々にどのような姿勢であったり、どのような指導、CBOとしてのスタイルを見せていきたい?

指導のスタイルも、僕は現役時代から変わらず一貫しているので、先ほどお話しさせていただいた“サイエンス・バランス・リスペクト”。「こうやれ」という指導はしないし、バランス感覚は持ちながら。今、こう練習したら上手くなるという野球界の何なんですかね、お守りか何か知らないがあるんですよね。でも、このサイエンスからすると、練習、練習、練習が上手くならない。やっぱり練習して、栄養を取って睡眠・休養。この睡眠、寝てるときに筋肉は再生し、強くなり、そして練習した技術は脳や神経が覚えていくというのがもう分かっている時代なので、翌日もやっぱり元気で集中して良い練習をしてもらいたい。そういった意味でサイエンス・バランス・リスペクトという言葉を3つ掲げているが、現場ではそうやって指導していきたいなと思っている。

長男・真樹さんがアルビBCに在籍していた縁で時折、新潟を訪れていた桑田さん(2015年)
長男・真樹さんがアルビBCに在籍していた縁で時折、新潟を訪れていた桑田さん(2015年)

Q.球団として、個人としての究極の目標のようなものは?桑田さんがユニフォームを着る可能性というのは今後ある?

池田拓史 社長:
このファームリーグにおいて、本当に高い目標ではあるが、我々優勝争いができるようなチームに、そして本当に実際に優勝ができるようにということを、まず掲げないことには。高い目標ではあるが、そこに向かって頑張っていこうということで、球団の幹部の中でも話をしている。それに向けて何が必要かということを今、色々と整理しながらやっているところ。

そして、もう一点挙げるとすると入場者数。今年は平均1673人ということで、ファームリーグ全体14球団の中で5番目だったが、こちらをファームリーグで一番観客が熱い、入っている球団にしたいということが当面の目標。

桑田真澄CBO:
まず、今は育成が大事だと思っている。でも、将来的には勝利と育成、これを両立していくというところが目標。あと、自分の最終目標は大学院の修士論文でも書いた日本野球のさらなる発展。ここが最大の目標。

「月の半分以上は関わりたい」

Q.チーム強化には継続的に関わることが大事だとは思うが、ある程度、拠点は新潟に移しながらになるのかという点と、ジャイアンツで2年間の2軍監督、今年は調整・供給・育成というテーマの中でやられたと思うが、ジャイアンツの経験が今後オイシックスに還元されていくとしたら、どのような部分が大きい?

本当はフルに帯同するべきだと思うが、来年の仕事が少しもう入っていたので、仕事をしながら現場に行き、また球団の人と色々ミーティングしたりという形になると思う。自分の中では、できるだけ月に半分以上は関わっていきたいなと思っている。拠点は東京になると思うが、その都度足を運んでいきたいと思っている。

ジャイアンツで2年間、2軍監督をさせてもらったが、トータル5年間、1軍の投手コーチ含め、ファームの総監督を経験させていただいて、もう本当に様々な学びがあった。その全てをオイシックスに注入していきたいなと思っている。

Q.ビジネスオペレーションの面で、過去ここ2年、2軍で戦った経営課題を受けて、桑田さんを招き入れて、どういった形で何か経営の指標を伸ばしていきたいとか、経営計画などあれば

池田拓史 社長:
最重要なKPIとしては、観客動員をこのファームリーグでナンバーワンの球団にしたいというところ。そのためには当然、強いチームというところが必要になってくるので、冒頭申し上げた通り、来季については勝率5割以上。より具体的に言えばAクラスというか、上位を狙えるようなチームづくりというところがビジョンとしてある。そういった部分を桑田CBOにお力を、総合的な観点から、先ほど、バランス・サイエンスといったようなお話もあったが、色々ご助言いただきながら球団の今後の方向性、何が足りなくて何が必要なのかというようなことを、対話の中で色んなお話をさせていただければと思っている。

Q.桑田CBOと野間口チームディレクター、仕事の割り振り・棲み分けは今の段階でどのように考えている?

池田拓史 社長:
詳細はこれからになってくるとは思うが、桑田CBOについては、フロント的な視点も含めて、総合的に球団の発展のために何が必要かというようなことを、俯瞰的に見ていただくお立場、ご助言をいただくお立場かなというところ。

野間口チームディレクターに関しては、当然、桑田CBOと連携をさせていただくかと思うが、編成を主に担当している取締役の辻と共にチームづくり、日常のチームの運営のディテールの部分も含めて関わっていくのが、より野間口というような役割分担になるのではないかなというふうに考えている。

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NST新潟総合テレビ
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