広島市の保育園で8月18日、強い毒を持つ特定外来生物「セアカゴケグモ」が多数見つかった。
噛まれると吐き気や腹痛など重症化する可能性もある毒グモ。子どもたちの身近に潜む危険に園や市は警戒を強めている。
子どもに忍び寄る“毒グモ”の脅威
広島市で駆除された体長1センチほどのクモ。全体が黒色で腹部はふっくらと丸く、背面に赤い線がある。このクモは“強い毒”を持つ特定外来生物「セアカゴケグモ」とみられている。

見つかった場所は広島市中区の吉島保育園。
「この中にいたんです…」
8月18日、子どもを迎えに来た保護者が発見した最初の1匹は、側溝の格子状のふたの裏に潜んでいた。

保護者から情報を聞きつけた宮地明美園長は「ドキッとして、嫌なクモじゃないといいなと思いましたが赤い模様があったので、これって…と思いました。広島市内でも発見の報告があがっていた」と話す。
広島市内で過去最多「24匹」
セアカゴケグモのメスは強い毒を持ち、噛まれて重症化すると吐き気や腹痛など全身症状をきたすこともある。広島市内では2024年1年間で「23匹」、そのうち比治山小学校の花壇では2025年7月にも再び発見された。

今回、吉島保育園で現地調査を行った市の職員は、広島市内でこれまでに見つかった事例の中で最も多い「24匹」を発見・駆除し、「巣」や「卵」らしきものも確認した。
宮地園長は「こんなところにいるんだとビックリしました。赤いコーンにも住みやすいと聞いたので、クモが好みそうな場所を把握して注視することが大事だと思います」と警戒を強めている。
見つけても触らず保健所へ連絡を
セアカゴケグモはプランターやエアコンの室外機などの「隙間」や「くぼみ」、薄暗い場所を好む。言い換えると「隠れるのが上手」で探し当てないといけない。

見つけても素手で触らない、市販の殺虫剤がない場合は熱湯をかけたり靴で踏みつぶすという対応が重要だ。
とは言え、虫が好きな子どももいる。吉島保育園では「もし見つけたら大人に知らせる」「特にクモは触らない」ということを子どもたちに周知している。

環境省によると、セアカゴケグモは攻撃性こそないが、触れると噛まれることがある。被害は6月から10月に多く見られ、症状のほとんどは軽いものの重症化するケースもある。日本で死亡例は確認されていないが、原産地オーストラリアでは血清が開発される前に死者が出ていた。
子どもの生活圏に潜む特定外来生物。広島市も、見つけた場合は触らずに保健所へ連絡するなど注意を呼びかけている。
(テレビ新広島)