2005年に世界自然遺産に登録された北海道の知床。
登山者がクマに襲われたのは登録以来初めてだ。
しかし、知床では以前からクマと人との距離が問題となってきた。
知床では過去にもクマとの“距離”が問題に
道路の真ん中を歩くクマ。
2023年に知床峠で撮影された映像だ。
車や人に慣れているのか、クマはものおじせずに近寄ってくる。

こちらは2013年、斜里町での映像。
クマと観光客の距離はわずか30メートルほど。
食べ物を投げ与える行為も見られた。
知床ではクマと人との距離が問題となってきたのだ。

“観光地”知床で増えるヒグマの目撃
世界自然遺産・知床。
2023年の観光客は130万人以上。
今回事故があった羅臼岳にも5500人あまりが訪れている。
大勢の観光客が訪れる一方で、知床は有数のヒグマの生息地でもある。
知床半島には400頭から500頭が生息しているとみられている。

斜里町内での目撃件数は2003年には約500件だったが、2023年には2000件以上と激増した。
「人がクマが住んでいる場所におじゃましている状況。難しさがある中で共存しなければならない」(斜里町総務部 茂木公司部長)
町ではヒグマの生息地の保全や、生ごみなどの誘因物で人里にクマを引き付けないようにするなど、共存に取り組んできた。
しかし、今回の襲撃事故。
「登山客への加害は過去にはなかったので、驚きを隠せない。知床半島のゾーニングや人員の配置の仕方、ヒグマの動き方を今一度確認しながら強化していく」(茂木部長)
人とクマとの共存のあり方が問われている。
