伊東市の田久保眞紀 市長が学歴を偽った問題で市政の混乱が続く中、ここに来て田久保市長は“別”の論点を持ち出すことに躍起になっている。
学歴詐称問題に揺れる田久保眞紀 市長は8月11日、自身のSNSを更新し「私の意見は入れずに、事実関係のみに限定するように注意を払い、これから順次、公開していきます。公開は、事実としてきちんと確定したもののみ行います」と前置きしたうえで「ここまで沈黙を通してきましたが、ここから先は、今、この町で何が起きていて、何と対峙しなければならないのかは、みなさんが公開さえる事実から見てとれるもので考えて、議論していただきたいと思います(いずれも原文ママ)」と記した。
ただ、この2カ月あまりの間、学歴詐称問題に伴う騒動は収まるどころか拡大の一途をたどっている。
その要因となっているのはいずれも田久保市長の言動が元となっているのは言うまでもない。
そもそも、騒動が今日に至るまで沈静化しない背景には、もともと田久保市長が卒業の根拠として挙げていた“卒業証書”にある。
田久保市長は自身の学歴について指摘する告発文が6月初旬に市議会議員全員宛てに届いた際、中島弘道 議長や青木敬博 副議長に“卒業証書”をチラ見せした。
その後も疑惑が晴れない中で、6月26日には「前に(議長などに)見せているような卒業アルバムとか証書とか、そういった形になる。とりあえず手元にあるものは、そういう風にしていこうかなと思う」と7月2日の会見に持参することを明言。
しかし、会見の場に“卒業証書”を持って来ることはなかった。
理由には東洋大学へ出向いたところ除籍と判明したことを挙げ、「卒業を証明するものとして機能しなくなってしまった」と述べている。
ところが、「一度卒業という扱いになってなぜ除籍になっているのか」と、東洋大学側に不可解な点があるかのような発言をした上に、疑惑の“卒業証書”についてもあくまでも「本物」という認識を示した。
さらに、同席した福島正洋 弁護士も「あれば普通に考えて偽物とは思わない」と同調。
7月7日には疑惑の“卒業証書”を卒業アルバムや上申書などと共に検察へ提出する考えを明らかにしたが、いまだ実行には移されていない。
なお、この時、田久保市長は「捜査機関に調べてもらって、その結果を見ることが一番真実に近い形を市民に示せる」と話し、福島弁護士も「私の目から見てあれが偽物とは思っていない。絶対に出さないと突っ張っても良かったが、正々堂々すべて提出して司法の判断に仰ぐ」と力強く宣言していた。
こうした中、学歴詐称問題に関わる事務手続きについて調査している市議会の百条委員会は“卒業証書”とされる資料を提出するよう請求。
だが、田久保市長は7月18日、「本件記録の提出請求は私自身の刑事訴追につながる可能性のある事項に関するもの」と憲法で保障された自己に不利益な供述を強要されない権利を盾に提出を拒否するとともに、自身に対する刑事告発を行った人物が市長選で相対した前市長の後援会関係者であるなどと“別”の論点を持ち出した。
また、7月31日に辞意を撤回した際には、新図書館の建設計画と伊豆高原メガソーラー計画について「水面下で激しく動いている」とまたも“陰謀論”めいたことを主張したが、市幹部から事実に反しているの指摘を受け、訂正に追い込まれている。
そこへ来ての今回のSNS更新だ。
田久保市長は「今、この町で何が起きていて、何と対峙しなければならないのかは、みなさんが公開さえる事実から見てとれるもので考えて、議論していただきたいと思います」と記すが、またしても“論点ずらし”との批判は必至で、かつて自身が口にした通り卒業証書を公開し、“シロ”か“クロ”かがはっきりすれば市民が何かと対峙する必要もない。
一方、東洋大学は8月6日にホームページを更新し、「本学では個人情報の適切な管理及びプライバシー保護を念頭に、法令及び学則その他の学内規則に従って、厳正に対応しています」とした上で「本学学則では、卒業した者に、卒業証書を交付することとしており、卒業していない者に対して卒業証書を発行することはありません」と田久保市長の学歴詐称問題を念頭に置いたと見られる公式声明を発表している。