岩手県陸前高田市に2025年6月、地元出身のシェフが手がける本格イタリアンレストランがオープンした。地元の食材を活かした料理で訪れる人を魅了している「イタリア料理クチーナカズ」を紹介する。
「地元の魅力あふれる岩手の食材との出会いの場というコンセプト。新しい岩手の食材のおいしさのアプローチの仕方を考えてやっていきたい」とオーナーシェフの菅原和麻さんは語る。
陸前高田市竹駒町にあるプレハブの産直施設の2階に6月オープンしたレストランで、地元出身の菅原さんが腕をふるっている。
ランチタイムには好みのパスタが1種類選べるセットメニューが楽しめる。
彩り豊かな前菜とスープ、そしてサラダには地元米崎りんごのドレッシングと泡状にしたリンゴジュースを添えるなど、地元食材へのこだわりが随所に見られる。
「これが”ガズパチョ”と言う酸味を利かせたトマトの冷製のスープ」と菅原さんが説明するガスパチョと生ハムの冷製パスタは、酸味のあるスープのすっきりとした味わいが暑い季節にぴったりだ。
菅原さんは、高校卒業後の2007年から東京のレストランで料理の腕を磨いてきた。そんな中、2011年の東日本大震災が発生する。
オーナーシェフ 菅原和麻さん
「震災のときに実家は流され、父親が亡くなってしまった。震災の2日後には陸前高田市に来て復興活動の手伝いをしていた。人ひとりの力の小ささと自分の非力さみたいなのものを感じた。東京に戻り何かできることはないかと考えて、東京でしっかりと修行をして地元で立派なレストラン構えたいという気持ちを持つきっかけになった」
震災の悲しい経験が、地元に貢献したいという思いを強くしたという菅原さん。その思いは料理にも込められている。
地元食材のおいしさを生かしたイタリア料理をつくり、それを味わってもらいたいという思いは、ディナーコースにも表れている。
菅原さんは「野菜を使った前菜の盛り合わせ。旬野菜のバーニャカウダ。地元の肉や魚を使ったパスタとメインディッシュを主に提供」と語る。
この日のメインディッシュは、岩手県産鶏もも肉を使った「鶏もも肉のロートロ」だ。
「ロートロと言って皮面を外にして内側にハムの様に巻いたことによって、火がじっくり入って肉汁が中に閉じ込められるので、ジューシーに焼き上がる焼き方」と菅原さんは説明する。
地元食材を使ったディナーコースは前日までの予約が必要だ。
念願の地元出店を果たした菅原さんだが、さらなる目標がある。
オーナーシェフ 菅原和麻さん
「将来的には一軒家レストラン、古民家レストランみたいな感じで新しく立派な大きい店を建てたい」
地元愛あふれるシェフの料理が楽しめる「イタリア料理クチーナカズ」は、岩手の食材の魅力を存分に味わえる場として、今後も注目されそうだ。
