■猛暑が残す痕跡、野菜に現れる”サイン”
高温・多湿の影響は、市場に並ぶ野菜の姿にもはっきりと表れている。41年間野菜一筋の大松百果の大井山行雄会長によると、北海道から届いたダイコンには傷が見られるという。
「これは北海道からきょうきた商品でもあまり肌がきれいでなく、こういう所にサビ(傷)がある」
富山近郊のトマトは高温による色むらが目立つ。同じ実の半分が青いままという状態だ。
「日の当たっているところと陰の所で品質の差がでる。これ以上木につけていても下がブヨブヨになってしまう」
ナスも本来「すらっとしている」はずが、形が膨れ、光の加減で色むらが生じている。「これだけ色の差があるので日差しが強いからじゃないかと思う」と大井山会長は分析する。
■価格上昇する定番野菜、お盆前の傾向
ジャガイモとタマネギは、本州産の入荷が終わり北海道産に切り替わったことで価格が先週より1割アップしている。特にジャガイモは「2、3週間前と比べると値段は倍」と大井山会長。市場価格表によると、ジャガイモは先週の80%アップからさらに今週は305%と急騰している。
レタスはお盆を前に値上がりする傾向が見られる。「先々週くらいまでは1個100円しないくらいの価格だったが、きょうは1個100円を超えている」とのこと。サニーレタスはすでに80%アップしており、「サラダ商材はお盆に人気があるのでこういうものは値段が上がる」と説明する。
■夏の救世主「トウガン」で作る簡単レシピ
そんな中、注目したいのが「冬のウリ」と書いて「トウガン」。味に癖がなく、煮物、酢の物、みそ汁の具など用途が多彩で単価も安い。
「富山県の夏場の野菜」と大井山会長が紹介するトウガンを使った「トウガンと鶏ひき肉の中華風煮」のレシピ。外側の白い粉は「ブルーム」と呼ばれ、傷と水分の蒸発を防ぐ役割があるという。
調理のポイントは、トウガンを一口大に切り、鶏がらスープの素を混ぜて電子レンジで加熱すること。「普通に煮ると火が通るのに20分くらいかかるので。夏場はきついので時短という風に考えて」と大井山会長。
完成した料理は「さっぱりとした味付け。冷まして食べてもおいしい」とのこと。「後からショウガが効いてきて夏場エアコンでのどを痛めた人に合うかも」という声も。冷たくしても美味しく、作り置きにも向いており、そうめんのおかずにもぴったりだ。
猛暑が続く今夏、変化する野菜事情を知り、手に入りやすい食材で工夫して暑さを乗り切りたい。