実績を訴える現職と改革を掲げる新人3人

仙台市長選挙が8月3日に投開票を迎える。任期満了に伴う今回の選挙には4人が立候補し、子育て支援や地域活性化、財政のあり方などをめぐって論戦が交わされている。
郡和子氏 3期目を目指し実績と継続性訴える

現職として3期目を目指す郡和子氏(68)は、これまでの市政運営の実績を掲げる。
「未来の仙台を確たるものとするために引き続きその責任を負わせてもらいたい」
選挙戦が始まった告示日には、県内の市町村長や支援者ら約150人が第一声に駆けつけ、地方行政で築いた連携を印象づけた。
郡氏は選挙期間中も現職としての仕事をこなす。
郡和子氏:
きょうは公務にもどらせていただきます

3期目の柱として「子育て支援策の強化」を掲げる。
郡和子氏:
生まれてきた子供たちに、のびのびと勉強しのびのびと成長し、ふるさと仙台のまちに大きな力になってもらうことを期待している。支援もしっかりさせていただきます。
「笑顔あふれ世界から選ばれる仙台(まち)へ」というキャッチフレーズを掲げ、国際会議やイベントを誘致した実績も強調。
ただし、選挙戦では「伝える努力がまだ足りない」と認識も示し、市民との対話をより重視する姿勢を強調している。
郡和子氏:
(他の候補者は)私の市政運営に批判的なところがあると見ている。皆さんにどう判断してもらえるかだが、市民にお知らせしていかなければいけない。それが少し足りていない。
笑顔あふれ世界から選ばれるまちにしていきたい。3期目も絶大なる支援を皆様にお願いしたい。
野田紀子氏 ラジオパーソナリティーが挑む“人生最後の挑戦”

現市政に批判的な姿勢で考えを訴えるのは、新人でエフエムたいはく社長の野田紀子氏(76)。
野田紀子氏:
現市長の考えの中に、実際に生活している市民の姿が見えているのかと思っているところがある。まちづくりの主役は市民一人ひとり。声をしっかり聞いて大事なところに予算をつけていく。
「人生最後の挑戦」と言う初めての選挙活動。
現役ラジオパーソナリティーでもある野田氏は、長年の取材経験を生かし、自ら街頭で市民に声をかけ、録音しながら課題を聞き取るという独自のスタイルで選挙戦を展開している。

野田紀子氏「仙台市ダメなところは?」
市民「若者が暮らしやすくしてほしい。お金がないので。」
予算を大幅に見直し、市長直轄の相談窓口の設置など、市民の声に即した政策を打ち出す。
最年長候補ながら「精一杯」を合言葉に、朝晩を中心に精力的に訴えを続けている。真夏の選挙戦で体重は2キロ減ったという。
企業再建の経験も持ち、「温かく優しい仙台に」とモットーを掲げる。
野田紀子氏:
仙台に住んでよかったと思ってもらえるような、温かくて優しい町を作りたい
菅原武大氏 自衛官から一転「市が直接子育て担う」政策

元自衛官で新人の菅原武大氏(60)は、「有権者に参議院選挙に集中してほしい」と、告示日には第一声を行わなかった。
菅原武大氏:報道各社の取材に
『仙台市から日本を立て直す』を合言葉に、仙台市をより良いまちにするのが目的
「市が直接子育てを担う」という異色の政策を掲げる。
主な公約は、0歳から18歳までの子供が無料で1日3食をとれる施設の整備と、同年代を24時間受け入れる施設の設置だ。
菅原武大氏:
子育て世代の方々がいついかなる時でも仕事に専念できる、安定した給料をもらうことができる。それによって長期的な計画を立てることができる。

選挙活動はほぼすべて一人でこなし、ポスター貼りや演説会の開催まで手掛ける。
菅原武大氏:
私の意見が通ったらすごいことになる。そのための下準備として顔を知ってもらう必要がある。
一人でもやれるという証明をする。そうすれば私がもし今回だめだとしても、あの人でもここまでできるんだったらやろうかなという若い人がどんどん出てくれる。それが一番大事。
松本剛氏 「8年前の違和感」から立候補 SNS駆使し“刷新”訴える

“市政の刷新”を掲げて立候補したのは、元会社員の松本剛氏(48)。
松本剛氏:
これまでの停滞した市政をこのまま続けるのか。それともここで刷新するのか。
住宅設備機器の販売会社に約20年勤務後、今年退職し、8年前の選挙戦で感じた違和感を原動力に、政治の道を選んだ。
目玉政策は、市が進める音楽ホールと、震災伝承拠点の複合施設の建設凍結、市民税の5%減税、メガソーラー建設の規制強化、給食費や第2子以降の保育料を無償化など。

選挙活動ではSNSを積極的に活用し、告示前に200人ほどだったX(旧Twitter)のフォロワー数は約1,700人にまで上昇。投稿に2万件以上の「いいね」がつき、“バズった”こともあった。
現市政に対して、明確な対立軸を打ち出し、危機感を訴える。
松本剛氏:
豊かな未来を次の世代に渡していくことができなくなってしまう未来がすぐそばまで迫っている。今ここで仙台市を刷新して、胸を張って未来の子供たちに渡せる仙台市を。
仙台市の民意は?8月3日投開票

仙台市長選挙は8月3日(日)、市内173カ所の投票所で行われる(午前7時~午後8時。一部投票所は午後6時まで)。
現職と新人3人がしのぎを削る構図の中で、有権者はどの未来を選ぶのか。注目の選挙となる。
仙台放送