「休みじゃない、家族との大切な時間」男性育休取得率向上の背景に国の支援強化

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「夫の育休が終わると思ったら涙が出てくる…」。富山県で公務員として働く荒見雄治さん(37)の育児休業に、妻の友貴さんはそう感慨を漏らした。第2子となる暦ちゃんの誕生を機に約4週間の育休を取得した雄治さん。その生活は「24時間パパモード」だ。

忙しくも充実の育休生活

雄治さんの1日は朝7時の起床から始まる。朝食を済ませ、長男を保育園に送った後は買い物へ。昼食の準備をし、空き時間で洗濯や掃除をこなす。午後は長男のお迎え、暦ちゃんの沐浴、家族の入浴、夕食の準備と、あっという間に一日が過ぎていく。

「仕事している時も忙しかったけど、1日が一瞬で過ぎていく」と雄治さんは話す。それでも「子供の成長を間近で感じられるのが幸せな時間を過ごしている実感がある」と笑顔を見せる。

保育園の先生も「いつも笑顔で慶くんのことを見ていて、いいパパだと思う」と話す。5歳の長男・慶くんに妹の暦ちゃんのどこが好きか聞くと、「好きなところは“めめ”(目)です」と無邪気に答え、「暦ちゃんに優しくしています」と胸を張った。

全国を上回る富山県の育休取得率

男性の育児休業取得率は年々増加し、全国では昨年度初めて40%を超えた。特に富山県では昨年度50%を超え、全国平均を大きく上回っている。

この背景には今年4月の法改正がある。従来の育児休業給付金に加え、休業支援給付金が新設され、最大28日間、休業開始前の賃金の80%が国から支給される。手取りベースでは実質100%相当が補償されるようになり、収入面の不安が解消された。

雄治さんは「育児休業を上司に相談した時、自分の希望を最大限考慮してくれるとおっしゃっていたので、すごく取得しやすい印象を受けました」と話す。

「心の余裕」が育児の質を高める

育休取得をためらう理由として雄治さんは「収入面の不安と職場への罪悪感」の2点を挙げる。しかし、制度の改善と職場の理解が進み、育休を取得するパパが増えてきている。

雄治さんは育休を通じて気づいたことがある。「心の余裕が育児の質につながる。忙しかったり寝不足だったり、心に余裕がないと子どもに優しく接することができない瞬間が誰にでもあると思う」

妻の友貴さんも「産後の身体はダメージを受けていて普段通り動けない。夫が育休を取ることで子どもにとって質の良い育児を提供することができる」と語る。

雄治さんは「こんなに休みとっていいの、申し訳ないという気持ちはありがち。でもそういうマインドより(職場へ)感謝するマインドを強く持った方が、取得について前向きになれる」と振り返る。

育児休業は「特別な休み」ではなく「普通の選択」になりつつある。社会とパパの一歩が、家族の時間をより豊かに変えていく。

富山テレビ
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