住民の安眠を妨げるバイクの爆音、警察が夏前に取り締まり強化
寝苦しい夏の夜、さらにバイクの騒音に悩まされると耐えられない。
愛媛県松山市北条地区を南北に走る国道196号(松山ー北条バイパス)沿いの住民たちが抱える悩みだ。
夏休みを前に警察が爆音走行や、危険運転を防ごうと取り締まりを強化している。

「ブンブクブンブク」響く爆音に悩む住民たち
松山市を南北に走る国道196号 松山‐北条バイパス。国道から数十メートル入るとたちまち住宅街となるこの幹線道路沿いで住民を悩ませているのが…。
住民:
「夜も(バイクの音が)鳴りよる鳴りよる。ブンブクブンブクって吹かしよらいな」
住民:
「何のメリットがあるんやろね。音立てて走って、自分家の横で走ってみたら思います。怒られるやろうね親に。多分(家から)離れたところで走りよんでしょうけどね」
それは騒音をまき散らしながら走るバイク。

それは道路交通法違反
松山西警察署には、今年6月末までの半年間に、騒音に関する通報が約40件も寄せられた。
松山西警察署・三浦裕典交通課長:
「走行するバイク、4輪車の音が大きい、うるさくて寝られない、というような通報があります」
不必要な“空ぶかし”や“急加速”は、道路交通法違反。5万円以下の罰金・違反点数2点という違反行為なのだ。

不必要な「空ぶかし」は違反、夜間の一斉検問実施
住民の安眠を妨害する悪質行為は許さないと今月、警察が動いた。
松山西警察署・別府聡憲署長:
「最大の目的は迷惑走行、騒音走行の取り締まりになります」
隣接する今治署や交通機動隊からも約20人が集まり、バイクの一斉検問にあたった。
検問の警官:
「不正改造とかはないし、空ぶかしとかもしてないと思うんやけど、特に急な発進、急ブレーキなど十分気を付けてもらって、速度違反に十分気を付けながら、運転していってもらえたらと思います」

「最低限のマナー」求められるライダーたち
道幅が広く信号も少ないため走りやすいバイパス。特に夏場は、交通量が減り暑さも和らぐ夜間を狙って、走りを楽しむライダーたちがやってくる。
検問の警官:
「これからですね。夏にかけて196号線上における二輪車の重大な事故、二輪車の悪質な違反が増加傾向にあります」
この日は1時間の検問中に約15台のバイクが通過したが、目立った空ぶかしなどの迷惑行為は確認されなかった。

夜寝られないくらいうるさかった
住民:
「街中を(バイクが)抜けていくことがよくありますよ。(音で)起こされることはありますよね」
住民:
「196号に近い友人から、あまりにうるさかったときに警察に相談したという話は、聞いたことがあります。夜寝られないくらいうるさかったということで」
バイクは造られた年式や排気量によって排気音に基準があり、例えば2010年以降に製造された125cc超のバイクは、『94dB以下』が基準。
ちなみに『94dB』とはパチンコ店の店内と同じくらいの音量。基準を超えるともちろん「整備不良」で、松山西署の管内では今年「整備不良」により約50件が検挙されている。

警戒心を与えることで未然に防止する狙いも
検問の警官:
「きょう全部ツーリング?みんなに言うとき。検問しよるでって」「なんか今、南の方でバイクがブンブンいうて、やっとるやつがおるんやけど、なんか情報知らん?」
検問では悪質なライダーを検挙するだけでなく、警戒心を与えることで騒音被害を未然に防止しようという狙いもある。
去年から始めた“夏前の集中的な取り締まり”効果が出たのか、実は今年住民から寄せられた「騒音」通報は、去年の同じ時期に比べ半減しているという。

ライダーたちの“たまり場”
検問する警官:
「きょうは何用で?ツーリングですか?」
ドライバー:
「うん」
警官:
「どちらに行かれるんですか?」
ドライバー:
「風和里の方に一回行く」
バイパスの先にある道の駅「風早の郷風和里」。夏のこの時季、海水浴の家族連れなどで賑わう駐車場は、夜になると一変する。多いときには深夜に50台以上のバイクが集まるライダーたちの“たまり場”となっている。

みんなで走ると楽しいっす
取り締まりの警察官:
「こんばんは西署のものです。ちょっと196号が結構うるさいって今(通報が)入って来とんで、今聞こえよったら全然普通なんで大丈夫やと思うんで、気を付けて走ってもらえたらと思うんで」
こちらの若者。バイクが大好きで50万円ほどかけ改造したということで、高い背もたれがお気に入り。
若者:
「うるさい人らもおりますよ。これ結構(音が)小さい方なんですけど」
『なぜ夜に走るのか』聞いてみた。
若者:
「夜の方が楽しいっす。みんなで走ると楽しいっす。することがないんで田舎で」
こちらの5人組は?
40代男性:
「別にまとまって来てないです。来た人で話してるみたいな」
20代女性:
「行くとこないけん、みんなここにおるみたいなとこありますし」
バイク好きな仲間が集まるスポットになっているが、やはり一部には騒音などの迷惑行為もあるようだ。

最低限のマナーは必要
別の40代男性:
「一般市民から見たら迷惑しかかかってないと思うけん、最低限のマナーというのを守っとったら大丈夫なのかなと思うけど、一部の人らがそういうことするけん、みんな僕ら普通に走りよる人らも一緒のように思われる」
爆音走行は周りに迷惑をかけるだけでなく、事故を起こすリスクも高まる。
警察は今後も取り締まりを強化し、夏の迷惑行為をなくしたいとしている。
