夏休みは宿題ゼロで「主体的学習」を
東京都内などの小中学校では今週末に終業式を迎え、長~い夏休みが始まる。そんな夏休みの思い出と共に記憶に残っているのは、膨大な宿題だ。
テーマは、「イマドキ小学校 夏休みの宿題ゼロ!?ソレってどうなの?」だ。
取材で訪れたのは東京・武蔵野市立境南小学校。教室で授業を受けている6年生に今週末から始まる夏休みの宿題について聞いてみると…

小学6年生:
宿題ないです。
取材班:
夏休みの宿題がないのは、今年初めて?
小学6年生:
去年もなかったです。
えー!夏休みの宿題がないとはどういうことなのか?校長先生に話を聞いた。

武蔵野市立境南小学校・杉谷努校長:
うちの学校は、一律一斉の宿題がないのが特徴。自由研究も「やってきていいよ」というスタイル。

境南小学校では、約5年前から一律の夏休みの宿題をなくした。漢字の書き取りも、算数ドリルも読書感想文も、自由研究も「やるかやらないかは自分次第」だという。
「宿題なし」のメリットとデメリット
イット!のスタジオでは…
青井実キャスター:
山口さん、夢のような世界が広がってます。

SPキャスター山口真由さん:
子ども目線からだと「わーい」だけど、親からすると学習習慣のある子とない子で、格差がさらに開きそうと思うかもしれないですね。
青井キャスター:
親御さんの感想は様々です。
小学3年生の子どもの親:
やりたいことをやってほしいというところはあるので、夏休みの宿題がないメリットもあると思う。
小学5年生の子どもの親:
(宿題が)何もないと、こっちで考えて与えなきゃいけないので、だいぶ厳しい。
中学2年生の子どもの親:
「おうちでやってください。お母さんお父さんお願いします」の時、かなり大変だった。親子のトラブルが発生する。全部任せられるのは、ちょっと…。

青井キャスター:
こうしたこともあって、冒頭で紹介した境南小学校では、夏休み中の勉強のやり方にヒントを与える方式を導入しています。さらに、自由に選択できるプリントなどを用意。しかし、勉強の計画を立てるのは子どもたちです。学校に提出する場合は、丸付けは本人と親が担当し、教員は提出物の確認だけを行います。夏休みの宿題を無くした狙いについて、校長先生はこう話しています。

武蔵野市立境南小学校・杉谷努校長:
人によって実力が違うのに、当たり前のように同じことをやることにすごく違和感があった。「6年生になった時、必要な学びを自分で決められる子を育てたいね」と話して、主体的に生きてほしいという思いが一番強い。
夏休みだけでなく普段も宿題なし
青井キャスター:
実は境南小学校は、夏休みだけではなく普段の宿題もありません。子どもたちは、どう思っているのか6年生の皆さんに聞きました。

小学6年生:
自分が不得意なところにあまり気づけなかったが、自分で計画を立てるようになって「ここが得意じゃない」と分かるようになりました。
小学6年生:
(宿題は)あったほうがいいが、自分の苦手なところを自分で選んで出来るから良いと思います。
小学6年生:
習い事の習字に行ったりして、好きなことがたくさん出来る。
小学6年生:
提出しなくて良いから気楽にやれる。宿題がないと、塾の勉強が出来てめっちゃ良い。
小学6年生:
(今年の夏休みは)本が好きだから、学校から配られたチラシを見て、読書感想文のコンクールに出そうかなと思ってます。
青井キャスター:
校長先生は、この経験が将来に役立つだろうと期待しています。
武蔵野市立境南小学校・杉谷努校長:
子どもたちにとって「宿題なし」が、すべて良いか悪いか分からないんですけれど、今後生きていくためには、絶対この小学校の経験が大人になって響くのではないかなと。
1年生の通知表を廃止した小学校
青井キャスター:
一方、宿題だけでなく、夏休みの前に貰う通知表にも変化がありました。岐阜・美濃市の小学校は、今年度から小学1年生の通知表を廃止しました。市の教育長は、狙いについてこう話しています。

美濃市教育委員会・島田昌紀教育長:
例えば「◎」があったかどうか「△」があったかどうか、いくつあったか、他の子より多いか少ないか、特に低学年の発達段階を考えると、そういうところに着目しがち。劣等感を感じて、自信や意欲を失うことがないように。

勉強への苦手意識や劣等感を抱かせないように、来年度からは小学2年生の通知表も廃止するという。

変わる夏休みの過ごし方だが、待ち遠しいのは今も昔も変わらないのでは。皆さんにとって、最高の夏休みにしてほしい。
(「イット!」7月15日放送より)