もしもに備えて覚えたい“FIRE”

熱中症が疑われたらどうすればいいのか。対処の基本は「FIRE」という応急処置だ。

・F(Fluid):水分補給をする
・I(Ice):氷などで体を冷やす
・R(Rest):涼しい場所で休む
・E(Emergency call):助けを呼ぶ、119番通報をする

このうち外出先で優先してほしいのは、涼しい場所で休むこと。車で来ているならエアコンの効いた車内、そうでないなら屋内施設など「涼しい風が吹く場所」に移動しよう。

保冷剤や氷は外出先のコンビニなどで手に入るそうだ(画像はイメージ)
保冷剤や氷は外出先のコンビニなどで手に入るそうだ(画像はイメージ)

次に意識の有無を確認しつつ、体を冷やしてほしい。外出先で入手しやすいのが保冷剤や氷で、コンビニなどでも購入できるという。凍傷を避けるためにタオルでくるみ、首、脇の下、両脚の付け根付近を冷やそう。

もし保冷剤や氷がないなら、ぬらしたタオルを当て、うちわなどで仰いでもいい。

併せて水分補給もさせたいが、意識がもうろうとした状態で、他者が飲ませるのは危険だそう。

「誤嚥(ごえん)リスクを下げるため、自力で飲ませてみてください。ふたを自力で開けられるか、口元まで正確にペットボトルを持っていけるかで、意識がはっきりしているかも確認できます」

熱中症は適切な応急処置をすれば、20~30分で改善することが多い。元気になる気配がない、様子が変わらないなら、119番通報などで救急車を呼んでほしいそうだ。

「意識や体力が戻ったとしても、その日は大事をとって早めに切り上げるようにしましょう」

今年も暑い日が続きそうだ。家族での夏の外出を楽しく過ごすために、できる限りの対策はしておきたい。

三宅康史(みやけ・やすふみ)
博士(医学)。東京医科歯科大学医学部卒業。帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長などを歴任し、一般社団法人臨床教育開発推進機構で理事を務める。救急医学、集中治療医学などを専門とし、熱中症のスペシャリストとして厚生労働省、環境省、自治体、NPOとの協働活動実績も多い。『医療者のための熱中症対策Q&A』(日本医事新報社)など著書も多数。

取材・文=内山直弥

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