■大分、どう読む?
この記事を読んでいるそこのあなた。
この文字を、声を出して読んでみてほしい。
「おおいた」
1音目が最も高い「お↑おいた↓」
それとも
全ての音が高低差なく続く「おおいた→」
どっちで読んだだろうか?
どっちが「正しい」発音なのか、考えたことはあるだろうか。
■日本語発音のルール
日本語のアクセントは、「全世代の人々に、音声を聞いて直ちに理解してもらえることば、すんなり自然に受容してもらえる発音は何が最適か」(NHK日本語発音アクセント辞典より引用)それを追求するための基準として定められている。
つまり、アナウンサーをはじめ多くの「伝える」ことを仕事にしている人々は、発音のルールに沿って日本語を話している。
日本語のアクセントは大きく分けて4種類あり、
「頭高型」…最初の1音が最も高い(例:ネコ、メロン)
「中高型」…2音目以降の音が最も高い(例:あなた、ドライブ)
「尾高型」…語尾の音が最も高い(例:2人、妹)
「平板型」…音が平たく一定(例:魚、道路交通法)
以上に分類される。
このルールでは、
「お↑おいた↓」は頭高型、「おおいた→」は平板型。
一体どっちが正しいのか?調査してみた。
■大分県民にきいてみた
街中の人に聞いてみると、「お↑おいた↓」、「おおいた→」どちらも存在。
「そういえばどっちが正しいんだろう?」、
「今まで考えたこともなかった」というような感想が飛び交った。
■街頭インタビューの結果は
大分県民100人にインタビューしたところ、
以下のような結果に。
年代による偏りはみられなかった。
■TOSテレビ大分アナウンサーは
ちなみに、この調査を行ったTOSテレビ大分のアナウンサーは
「お↑おいた↓」、「おおいた→」どっちで発音しているのか。
◇TOSテレビ大分・小西綾音アナウンサー
「TOSの中でもアナウンサーによって頭高型と平板型が分かれていましたが、社内で統一しようと話し合い、2021年から頭高型の「お↑おいた↓」で統一するようになりました」
全国のアナウンサーがアクセントの基準にしている『NHK 日本語発音アクセント新辞典』(NHK出版)によると、
第一アクセントは頭高型の「お↑おいた↓」その次に平板型の「おおいた→」と表記されている。
結論、どっちのアクセントでも間違いではないが、
頭高型の「お↑おいた↓」がより一般的に伝わりやすい発音だということだった。
■専門家は
別府大学 国際言語・文化学科の松田美香教授によると、
やはり頭高型の「お↑おいた↓」が主流だということ。
大分の後に駅や県などの名詞が付く場合は、言葉をまとめて平板型のアクセントになる。
そして、大分方言のアクセントは標準語と同じなのが特徴だという。
地域色が強い九州の方言の中でもかなり珍しい大分県民の方言。
ただ、一部 標準語と異なるアクセントがあり、高齢層を中心に
「いちご」「うさぎ」「あぶら」「くすり」など、
大分県民は頭高型で発音する傾向にある。
■ちなみにこんな検証も
国民的歌手、「B’z」。
「ビーズ→」と平板型で発音されることが多いが、
実は正式な発音は頭高型の「ビ↑ーズ↓」なのである。
「いちご」や「うさぎ」を頭高型で発音する人が多い大分県民であれば、
「B’z」を正式な位置にアクセントを付けて「ビ↑ーズ↓」と読めるのではないか?
■「B’z」の発音、調査の結果はいかに
3時間に渡った街頭インタビューの結果は…
「ビ↑ーズ↓」と正式な発音で呼んだ人は、60人に1人だった。