7月4日朝、岩手県北上市の住宅で81歳の女性が死亡しているのが見つかり、遺体の外傷や現場の状況などから警察はクマに襲われたと断定しました。
現場周辺ではクマの出没が相次いでいることから市が避難所を開設しています。
内記和人記者
「クマが人を襲った現場となった住宅です。住宅の前には規制線が張られています」
4日午前7時半過ぎ、北上市和賀町山口の住宅でこの家に住む高橋成子さん(81)が、居間で血を流して倒れているのを様子を見に訪れた息子が発見し、警察に通報しました。
高橋さんは駆け付けた警察と消防により、その場で死亡が確認され、頭や体に引っかかれたり噛まれたりした痕があったことから、警察は家に侵入したクマに襲われたと断定しました。
警察によりますと、高橋さんは1人暮らしで、2日の朝に息子によって無事が確認されていたことから、それ以降にクマに襲われたとみられています。
県内では人がクマに襲われて死亡するのは2025年初めてです。
警察のまとめによりますと、現場の北上市和賀町の山口地区では、6月3日以降、クマが住宅に侵入する事案が10件発生していて、すべて同一の個体とみられています。
近所の人
「(以前)用足しして家に帰る途中で、こんな風にガニ股で(クマが)歩いていた。大きかった、1m以上はある」
内記和人記者
「クマが人を襲った住宅の裏手から約100mほど離れますと和賀川があります。クマはこの川から現れたとみられています」
クマが出没する場所を警察が分析した結果、和賀川の南側に集中しているため、クマは和賀川沿いを移動しているとみられています。
近所の住民は相次ぐクマの出没を受け、自ら代金を支払い業者に河川敷の草刈りを依頼したといいます。
近所の人
「(草を)刈ってもらってます、業者さんに。安全のため。あまり市とかばかり頼ってもいられないでしょうし。クマはやっぱり怖いです。この辺にいるの分かってるので」
一方、市は4日、クマの人身被害や相次ぐ出没を受け県内では初となるクマの被害防止を目的とした避難所を市内3カ所に設置しました。
午後4時時点で避難している人はいないということです。
現場の周辺では4日、市がクマに警戒をするよう住民に広報を行ったほか、猟友会が捕獲するための箱わなを設置していました。
警察と市は引き続き警戒を強めることにしています。
こうした状況を受け県は4日、2025年4月に県全域に発表していたクマの「出没注意報」を「警報」に切り替え、県民により強い注意を呼びかけています。