命をつなぐために欠かせない“水”。災害で断水が発生した場合、給水車などから確保した水を無駄なく使う工夫も必要になる。そんなときに役立つ道具として「ろ過器」がある。タイプ別の利点や注意点、水を効率よく使うアイデアなどを紹介する。

水の保存は常温で3日程度…ろ過器が役立つ

災害で自宅などが断水した場合、給水所などからポリタンクで水を運ぶ様子を目にするが、ポリタンクの水はどれくらいの期間、保存できるのだろうか。

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アウトドアを取り入れた防災活動に取り組んでいる秋田市の日本赤十字東北看護大学介護福祉短期大学部の及川真一さんによると、ポリタンクの水は一度空気に触れているので、保存は3日間くらいといわれているという。

災害時に毎日水をくみに行くのは大変な労力。そこで及川さんは「ろ過器」の活用を紹介してくれた。

不純物も除去 電動式ろ過器

一口に「ろ過器」といっても様々なタイプがある。手動のくみ上げ式、水が点滴のように落ちてろ過されるもの、ストロータイプなどだ。

まずは「電動式」のろ過器を使って、用意した泥水を実際にろ過してみた。

ボタン一つでろ過が可能で、川や湖の濁った水を使ったとしても、有害物質を除去して飲めるようになる。1分間で約500ミリリットルのペットボトル1本分をろ過することができる。

電動式ろ過器を使い泥水をろ過
電動式ろ過器を使い泥水をろ過

実際に泥水は透明になり、不純物なども取り除かれているという。

飛世直樹アナウンサーがろ過した水を飲んでみた。

ろ過した水を試飲する飛世アナウンサー「水道水と変わらずにおいもなし」
ろ過した水を試飲する飛世アナウンサー「水道水と変わらずにおいもなし」

ろ過する前の水はかなり泥臭かったものの、ろ過した水は水道水と変わらずにおいもなく、普通の水として飲むことができた。

電動式ろ過器は、水をろ過する機能のほか、手回し発電機やソーラーパネルがついていて、スマートフォンの充電もできる。一つ持っておくと災害時に安心だ。

タイプ様々 川の氾濫時の使用は注意!

手動式のろ過器
手動式のろ過器

続いて、使ったのは「手動式」のろ過器。ポンプを押すのが大変だが、しっかりとろ過された。

高い所につるして使うタイプのろ過器
高い所につるして使うタイプのろ過器

木など高い所につるして水を落としてろ過するタイプは、雨水をろ過することができる。

日常から使えるタイプのものもある。及川さんが紹介してくれたのは、ふたの部分にろ過器が内蔵されているボトルタイプの容器。

ふたの部分にろ過器が付いているボトル
ふたの部分にろ過器が付いているボトル

及川さんいわく「ろ過器がついているので、日常でも水道水などを入れてマイボトルのようにして飲むと、きれいな水として飲める。災害時には貴重な水をろ過して飲むことができる」という。

ろ過器は様々な場面で役立ち、持っていると備蓄する水の量を減らすことができそうだが、災害時には注意しなければならない点がある。

川の氾濫時のろ過器の使い方は注意が必要と話す及川さん
川の氾濫時のろ過器の使い方は注意が必要と話す及川さん

及川さんは「川の氾濫によって下水も含むいろいろなものが混じっている状況で、ろ過器を使って川の水などを飲むのは避けてもらいたい。化学系の物質をろ過できるわけではない」と注意を促す。

ろ過器は、あくまでも「給水車からもらってきた水を長期で保存して飲むときに便利なもの」だという。

ちょっとした工夫で効率よく使おう

さて、飲み水はもちろん重要だが、災害時は手を洗うことも大切だ。ペットボトルの水で手を洗うとうまく洗うことができず、かなりの量の水を使う。貴重な水を効率よく使うには、ちょっとしたアイデアが役に立つ。それがペットボトルシャワーだ。

ボトルの下のほうに画びょうなどを使って複数の穴を開けたら完成。

キャップを緩めるとシャワーのように水が出て、両手をしっかり洗うことができる。キャップを閉めると水が止まる。

ボトルを縦にしたままだと水滴が落ちてくる恐れがあるので、保管するときは穴を開けた面を上にして横置きにすると水は漏れない。

この他、ポリタンクに付けられる電動のシャワー、持ち運びができるシャワーなども災害時の備えとして持っておくと便利だ。

自然災害はいつ、どこで起きるか分からない。いざという時を想定して過ごすことが、防災・減災につながる。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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