命をつなぐために欠かせない“水”。災害が発生したときは、特に水の確保が重要になる。水の備えはどれくらい必要なのか。給水車から水を運ぶにはどういう方法がいいのか、改めて考えてみる。
1日に必要な水は約9リットル
地震による被害や大雨による河川の氾濫など、自然災害が起きると電気・ガス・水道などのライフラインがストップしてしまう可能性がある。中でも“水”は、いざという時の備えとして欠かせないものだ。
命をつなぐには1日に1人どれくらいの水が必要なのだろうか。

アウトドアやキャンプなどを取り入れた防災活動に取り組んでいる秋田市の日本赤十字東北看護大学介護福祉短期大学部の講師・及川真一さんによると、1日に飲み水は2~3リットル必要とされているが、手を洗ったり顔を洗ったり、飲み水のほかに必要な水を合わせると9リットルくらいといわれているという。

トイレや風呂は別だが、災害時に1日に必要な水を用意してみると、かなりの量だと分かる。どのくらい必要なのか、しっかりと備えを考えておこう。
給水車からどのように運ぶかを想定
災害でライフラインがストップすると、給水車が派遣される。給水車からどのように水を運ぶか、想定しているだろうか。

実際に6リットルの水が入った給水袋を持ってみた飛世直樹アナウンサーは「かなり重い」と感じたという。
及川さんは「成人男性でも6リットルは重いと思う。例えばこれが女性や高齢者だったらどうだろうか。子育て中の子どもを連れている人は、片方の手には子どもの手を握るとなると結構重いと思う」と話す。
さらに重い10リットル、20リットルのポリタンクを運ぶとなると、大変な労力だ。

及川さんは「車で運搬できればいいが、能登半島地震の時は免許を返納して車がないという人たちも水を毎日運ぶ。本当に大変苦労されていた。手に持てる範囲で運べるのはペットボトル1本1.5リットルなので両手で3リットルしかない。水が不足してしまうという現象が起きた」と、被災地で目の当たりにした状況を語る。
負担のかからない水の運び方は?
なるべく負担がかからない水の運び方を考えてみる。
まずは、【ひも】を使ってペットボトルを運んでみる。

ひもをペットボトルの下に通し、ふたの位置で結ぶ。

結び目の輪を広げてペットボトルの真ん中まで下ろし、再びしっかり結ぶ。

これをもう一度繰り返すとペットボトルがひもで固定され、肩などにかけて運搬しやすくなる。
続いては、【レジ袋】を使った運び方を及川さんが見せてくれた。

一般的な結び方で結んだものは、ひっくり返すと水が漏れてしまうが、真ん中をしっかり持っている状況で持ち手を交差させて回し、もう一周回して結ぶと水は漏れなかった。

非常用給水袋は、商品によってはひもが付いていて背負うこともできる。
普段使っているリュックが災害時に役立つ場合もある。

“防水”タイプのリュックを普段使いしているという及川さんは、「水を運ぶ時には、肩にかけることで運ぶのがより簡単になる。日常的に使えるものと組み合わせることが大切なことだと思う」と話す。

防水リュックに約9リットルの水を入れてみたが、飛世アナウンサーは、紹介した運び方の中で一番負担がかからず楽だったという。
普段から使えるマイボトルも有効
給水車から水を運ぶ方法を考えてみたが、及川さんが最後に提案したのは、日常から使えるマイボトルだ。

及川さんは「実際に愛用していて、普段から持ち歩いているマイボトルが自分のそばにあることによって、万が一災害が発生して水を運ばないといけなくなった時に大変便利なものになる」と話し、準備しておくことを勧めている。
(秋田テレビ)