高知県は7月3日、マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)の発生が今年、11件となり、2014年と並んで過去最多になったと発表しました。都道府県別の届け出数は、全国最多です。(6月22日時点)
同じくマダニが媒介する「日本紅斑熱」も増加していて、注意を呼び掛けています。
6月にはペットの猫がSFTSに感染しているケースも発生しています。猫は屋内外を行き来していて、屋外から戻ってきた際にマダニが付着していたということで、屋外でかまれて感染したとみられています。
国内では、SFTSに感染した猫や犬などから人へ感染したと疑われる事案も発生していることから、県は、室内で飼うことやマダニ駆除剤の投与などを呼び掛けています。
また、▽過剰な触れ合い(口移しでエサを与えるなど)は控える▽動物に触ったら必ず手を洗う、ことなどが感染対策になるとしています。
近森病院(高知市)の感染症内科部長・石田正之医師は「外で飼っている犬猫が散歩した時にマダニをもらってきたりとか、シカとかイノシシとかタヌキとかも“運び屋”になる可能性がある。そういう動物が都市部に移動してきたりとかして、草原とか自然の場所じゃなくても(野生動物に)接触することによって感染する可能性はあり得る」と警鐘を鳴らしています。
60代の女性が亡くなった事例あり、石田医師は「特に大きな病気もなく、元気で普通に生活をしていた方だった。急激に具合が悪くなってお亡くなりになってしまった。健康な方でも感染はするし、発症もするし、重症化したりお亡くなりになるリスクもある」と話しています。
また、実際に体にマダニがいた場合は「病院に行って取ってもらうのがいいと思います。下手につぶすと体液が出て、体液の中に病原体がいると、もしかしたら体の中に病原体が入って感染を起こすことがある」としています。
マダニは野外に生息する大型のダニ(体長1~10ミリ)。感染症はインフルエンザのように容易に人から人へ感染して広がるものではありません。
【感染予防方法】
農作業や庭仕事、レジャーで野外の活動をするときには
▽長袖・長ズボンを着用して皮膚の露出を避ける
▽すそはズボンや長靴の中に入れ込んでダニの侵入や付着を防ぐ
▽ダニに気付きやすい白い色や付着しにくいツルツルすべる素材の服を選ぶ
▽肌が出る部分には防虫スプレーを、説明書の注意書きに従って使用する
【症状】
●SFTS
かまれて6日~2週間程度の潜伏期間を経て、主に発熱、消化器症状が出現。致死率は約30%との報告もあります。
●日本紅斑熱
かまれて2~8日程度の潜伏期間を経て、頭痛・発熱・倦怠感を伴います。一般的に発熱、発疹、刺し口が主要三兆候とされており、ほとんどの症例に見られます。