JRの寝台特急「カシオペア」が老朽化のため、2025年6月30日でラストランを迎えた。運行開始は1999年。多くの鉄道ファンたちに愛されながら四半世紀を駆け抜けた豪華寝台特急を振り返る。
イメージ塗り替える「豪華寝台列車」

カシオペアは上野と札幌を結ぶ寝台特急として1999年7月16日に運行を開始。当時は「狭い」「疲れる」などといったイメージが強かった寝台列車だったが、豪華な内装で話題を呼んだ。

列車名は星座のカシオペア座に由来。当時運行していた寝台列車「北斗星」と対になり、夜を駆ける列車のイメージというほかにも、全室2人部屋、オール2階建てという「ダブル」を売りにしていたことなどから、Wの形に似ているカシオペア座にちなんだ。

先頭車両のスイートルームは展望室から見るような夜景が楽しめ、フランス料理や懐石料理といった豪華な食事も、要望に応じて用意された。

カシオペアは1日1本の運行で、上野と札幌を結んだ。途中、仙台や盛岡などに停車しながら、約17時間をかけて走るという、まさに列車そのものを楽しむ豪華寝台特急だった。
定期運行終了後も人気は衰えず

北海道新幹線の開通で青函トンネルを含む約82キロの区間が新幹線と在来線の共用走行区間となるのに伴い、架線電圧が変更されることに。
これによって、2016年3月20日、カシオペアは最後の定期運行を終了したが、その人気は衰えなかった。ツアーでの不定期運行は、チケットの販売開始と同時に売り切れることも珍しくなかった。
そんなカシオペアも、車両の老朽化によって引退を迎える。2025年6月末に行われた上野と仙台を往復するツアーがラストランとなった。

引退にあたって騒動も発生

ラストラン前日の午前11時ごろ、仙台車両センターにカシオペアが停車していたところ「人が侵入している」と、撮影のため近くにいた人から警察に通報があった。JRが確認し、侵入した人は見つからなかったが、安全のため、東北本線と仙山線の一部列車が運休するなど、あわせて約400人に影響が出た。警察は、何者かがカシオペアを撮影するため無断で立ち入った可能性もあるとみている。
ラストランは多くのファンに見送られる

2025年6月30日、仙台駅にはカシオペアの最後の上野行きを見届けようと、多くのファンが集まった。
どうしても乗りたいとチケットを購入した乗客は、「大切に保管したい」と乗車券を見せてくれた。

名取市の館腰駅では、カシオペアのラストランを見届けようと鉄道ファンがホームに駆け付けた。
神奈川から来た大学生は、「天気も良く、いい写真が撮れた」と喜びながら写真を見せてくれた。

カシオペアの今後は

運行を終了したといえど、カシオペアは人気の列車。快適な旅を追及して設計された車両は展示などでの活用を求める声が多い。JRによると、具体的な用途は未定だが、今後はイベントなどで活用されるという。
線路上から降りた後も、カシオペアは鉄道ファンたちを楽しませてくれそうだ。
仙台放送