6月22日、通常国会が閉会した。
自民党と公明党は、少数与党による国会運営を余儀なくされたが、関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した、橋下徹さんは「よくやった!!ナヨナヨ戦法」と題して、その政権運営を評価した。
一方、「政治とカネ」の問題を巡って、番組の青木源太キャスターと「永田町では現金禁止」という意見で一致。
クレジットカードやQRコード決済などで、金の流れを透明化するよう提言した。

橋下徹さん:石破政権、少数与党ですから過半数ないので、どうしても野党の同意取りつけなきゃいけないんですよ。
これ(スタジオモニターの「主な法案の成否」一覧表)もね、ちょっと誤解があるのは、見送り、見送りばっかり、赤色が見えますよね。成立が下2つありますけど、実はその下に、あと50個ぐらい成立があるんですよ。今回の法案成立率は98パーセント。だから、少数与党なのに、よくこれ野党の同意を取り付けて成立にしたなと。
今までのこの日本の国の政治っていうのは、もう政権与党が過半数を奪われてしまうと、政権交代ってなってたんですよ。それを政権交代せずに、野党と、『この法案はこの野党』、『この法案はこの野党』と協議をしながら成立をさせた。

橋下徹さん:石破さんに関しては、色んな批判ありますよ。『何言ってるかわからない』とか『コロコロ言い方が変わる』とか、『筋がない』とか。でも少数与党のトップの政治のリーダーはこういうやり方やらないと、自分の意見だけ通したところで、野党から『いや、こんなんだったらもう無理ですよ、同意しませんよ』と言われたら法案通らないんでね。
だからある意味、石破さんのこのぬるっとしていきながら、気づいたら法案を98パーセント通したっていうのは、まあよくやったなと思いますけどね。
青木源太キャスター:確認ですけど、これほめてるんですね?ナヨナヨ戦法というのは。
橋下徹さん:いや、ほめて、けなして(笑)。僕も知事・市長の時にやっぱり議会過半数なかったから。大変でしたよ。野党がうんと言ってくれないと、予算から条例から何も通らないんだから。その時に『ああだこうだ』交渉しながら、僕は予算も全部通しましたけど。
(Q.野党から見返りを求められることは?)
橋下徹さん:そう。だから今回は、法案修正率も高いんですよ。例年の2倍ぐらい修正。だから僕はこれが今までの55年体制の日本の政治、与党と野党がぶつかって、賛成と反対がぶつかり合うだけじゃなくて、野党の意見も入れながら修正したという意味でいい国会になったなと、そこは評価しています。
■自民党の手練れ感「野党が一致団結していれば…」
関西テレビ 神崎博報道デスク:自民党の『手練れ感』といいますか、やっぱりうまくて、例えば補正予算であれば『103万円の壁飲むから、国民と組んで通します』と。
本予算は今度は維新と教育無償化、社会保障をのんだ上で賛成してもらう。最後の年金制度改革。これは自民党は『ちょっとやめとこうか』というところがありましたが、立憲から文句言われたので、立憲の案を入れながら通すという形で。
実はそれぞれによって組むところを変えていく。維新だけ、国民だけに寄るわけではなく、大きな野党とはそれぞれ組む相手を変えながらも、うまいこと通していきました。
橋下徹さん:野党が今回だらしなかったんです。野党がそれぞれ自分の手柄取りに行ったわけ。だから国民民主党が『先に自分だけ』って、自分の法案だけ通そう。次は維新が自分だけ。立憲も…そうじゃなくて、これ野党が全部固まってテーブルに、『野党の要求はこれです』、『これをうんと言ってくれなかったら、我々反対しますよ』と、一致団結して迫っていけば、野党の要求通ってたのに。バラバラで自分の手柄を一生懸命取りに行ってしまったから。
全部の政策について一致団結は無理だから、それぞれの野党で、『うちの政党の絶対通したいものはこれだ』と3党が3つだけ政策出せば、その部分だけ一致団結して飲んでくれたら賛成で、飲まなかったら反対ってやれば石破さん飲むしかなかったのに、それやらなかったんだよね。

■「政治とカネ」問題はどうなった 国民負担は増やしても自分たちの金の問題は見送り
先ほどは与党の政権運営について一定の評価をした橋下さんですが、次は「政治と金どこ行った?」と指摘した。
橋下徹さん:去年、“政治とカネ”の問題で、自民党の裏金問題に始まり、その他、色んな地方議会も含めてお金の問題、色んな問題があって、『今年の3月までに結論を得る』と与野党の国会議員が合意してたんですよ。その問題、自分たちのお金の問題だけは見送って。成立した(法案の)中には、年金制度改革関連法とか、基礎年金の引き上げとか、社会保険料、厚生年金の保険料、高額所得者の保険料が上がったりとか、国民負担増えるものはいくつか入ってるんですよ。
青木源太キャスター:国民負担増えるものは通して?
橋下徹さん:通して。自分たちが受け取るお金のルールについて、長年20年、30年近く議論になってたこと、これをもうこの3月に、自民党の裏金問題きっかけで、『絶対3月に結論を得る』と言っておきながら見送り。
“企業団体献金”めぐる主張の違い
・自民・公明・国民は、献金は存続を主張していました。
※年5万円超を献金した企業名などを公表し透明性を強化
・立憲・維新など野党5党派は、禁止を主張
※政治団体による献金は容認
青木源太キャスター:それぞれの政党で主張があるわけですけれども、通せたとお考えですか?
橋下徹さん:石破さん、ここでは“ナヨナヨ戦法”取らなかったんですよ。自分の主張バーンとした後は、もうバーンと蹴散らせてしてしまったわけ。他の法律のときには“ナヨナヨ”しながら、野党の言うことも聞きながら修正取り入れたのに、この自分たちのお金の問題に関しては突っぱねてしまって、結局、今の現状のまんまという、これ最悪です。野党の方も言える。野党の方も自分たちの主張だけ通すんじゃなくて、自分たち過半数ないんだから、自民党とかの言い分を入れながら、今よりも1歩ましな法律をまず作って、政権交代して、今よりも一歩ましの法律改革をやったとしても、不十分だから、『政権交代で変えます』という主張をやればいいのに。
青木源太キャスター:大改革の前に、まず小改革として、共通してる部分だけでも変えて欲しかった?
橋下徹さん:与野党で小改革やりゃいいのに。結局、決裂して何が残ったかというと現状維持だって。何なんだっていうのかね。

■企業・団体献金への規制は 橋下氏が指摘
スタジオでは国民目線では「存続」か「禁止」かどのように判断すればよいのか、分からないという話題になった。
「透明性」というあやふやな言葉も国民感情としては納得しづらいのではないだろうか。
橋下徹さん:存続は禁止かは、僕は禁止論者ですけども、やっぱりそれぞれの意見があるから、どっちが正解というわけではないと思います。ただ1つ、透明性というのは、今の日本の政治献金は透明性ないんですよ。デジタルで検索できないから。だからそれで調べられるんだったら、いいやっていう国民もいるかも分からないです。僕は自分が政治をやった経験からすると、1人の人から多くのお金をもらうと、そこにどうしても縛られちゃうだろうと。そこの人におもんぱかってしまうだろうっていうのがあるから、禁止と言ってるんです。
青木源太キャスター:大改革の前の小改革は、どの段階まであればいい?
橋下徹さん:今、個人からは150万円までしかもらえないんですよ。だから僕は企業団体献金いきなり禁止にしなくても、企業団体からも150万円にそろえるとかね。もうみんな150万円にそろえる。
青木源太キャスター:そこだったら与党野党含めて合意できるライン?
橋下徹さん:150万円と今のルールであるわけだから。あとは透明化の所はデジタル化にしていくとかね。そういう小改革をやって、大改革やるんだったら、本当に献金ゼロにするのか、どうするのか次考えたらいいと思うんですけどね。

■「永田町は現金禁止」!? 青木キャスターからの提言
青木源太キャスター:私はもうね、永田町は現金禁止にして欲しいです。
橋下徹さん:大賛成。
青木源太キャスター:もう全部キャッシュレスで、記録に残る。
橋下徹さん:デジタル改革で国民にマイナンバーカードを使えとか国会で言うでしょう。言うてるくせに、自分たちだけは裏で現金使ってる。
青木源太キャスター:何かあったときに、後々どこからどこに、どういうお金が流れたのかって、たどれるようにしないと。これなんでなんですか?現金なのは。
橋下徹さん:全部透明化されるからでしょ。だから今の透明化、デジタル化という時の一番は、全員クレジットカードかバーコード決済で全部やれと。領収証を集めるのがものすごい手間がかかるって、この人たちは言うわけ。領収証なんて集めなくていいでしょ。とにかくキャッシュレス、カードっていうこれがもう小改革。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年6月26日放送)
