百日咳と伝染性紅斑（リンゴ病）の感染報告が福井県内で急増しています。いずれも子供を中心に感染が広がる中、見逃してはいけないサインと家庭での備えを取材しました。
福井市内のかさはら小児科・笠原善仁医師に話を聞きました。
「インフルエンザやコロナはだいぶ減ってきているが、昨年度末ぐらいから百日咳がじわじわ増え、今はかなり増えている小学校生以上の症状では、連続する咳が出る。熱はないので学校にも元気で行けるのが百日咳」
百日咳は“百日間も咳が続く”といわれるほど、長引く強い咳が特徴の細菌性の感染症です。
咳が発作的に連続し、時にけいれんのような咳に。特に新生児や乳児は肺炎や脳への合併症を引き起こし、まれに命にかかわることもあります。
県によりますと、百日咳の患者の届出数は2025年に入り420件で2024年の約20倍に。この数年は流行していなかったのが一転、感染が広がっています。
笠原善仁医師は「百日咳についてはワクチンを4回接種するので、小学校ぐらいまではかからないが、その後大きくなると免疫が切れてきて感染してしまう。ここ3～4年の間は流行がなかったので、小学校以上のお子さんは免疫が切れていて、さらに流行がひどくなったということだと思う」
子供たちに免疫がなくなったことと、空白期間が生じたことが感染拡大の一因のようです。
また、笠原医師は、伝染性紅斑いわゆるリンゴ病も急激に増えているといいます。「基本的にパルボウイルスB19の感染で起こるもので、リンゴ病という名前で分かるように頬がリンゴのように赤くなり、手足にモワモワとした赤い発疹が出るのが特徴」
最新の1定点当たりの報告数は1.96人と、例年より高い水準を維持。患者の8割近くは14歳以下で、特に多いのは5歳から9歳です。
発疹が出る前の“風邪のような時期”に感染力が最も高く、知らないうちに感染を広げてしまうこともあり、保育園や学校などでの集団感染に注意が必要です。
また笠原医師は、大人が感染した場合も注意が必要だといいます。「大人の中には関節痛がひどかったり、全身倦怠感があったりというのが長く続く場合もある。一番気をつけないといけないのは、血液の病気がある人や妊娠中の人がかかるとお腹にいる赤ちゃんに影響が出る場合がある」
特に妊娠初期での感染は胎児への影響が懸念されるため、注意が必要です。
コロナの感染対策を忘れかけている時期ですが、周囲に体調が優れない人がいる場合や人混みでは、マスクの着用や手洗いなどの基本的な感染対策を徹底することが大切です。
