大和ハウスプレミストドームの運営会社「札幌ドーム」の2024年度の収支がV字回復し、約4300万円の黒字になった。しかし、課題は山積み。新社長は「攻めの営業」に意欲を示した。
過去最大の赤字から脱却へ
「ファイターズの本拠地移転に伴う約6億5000万円の過去最大の大赤字から黒字に転じた札幌ドーム。まもなく株主総会が始まります」(関根弘貴記者)
札幌ドームの運営会社は株主総会で2024年度収支の黒字を報告した。しかし、ここまでの道のりは険しいものだった。

2023年に北海道日本ハムファイターズが北広島市に本拠地を移転。最大約78%あった稼働率は2023年度には62%ほどまで落ち込んだ。
収支は、過去最大の約6億5000万円の大赤字になったが、2024年度は一転。

ネーミングライツ契約とイベント増加が奏功
「今、付け替え作業が始まりました。看板には新しい名前”プレミストドーム”と書かれてあります」(三宅真人記者)
2024年7月、大和ハウス工業と愛称の命名権を販売する「ネーミングライツ」を契約。年間2億5000万円を4年結ぶ大型契約となった。
そして―。

「SnowManライブ、まもなく開場ですが、ドーム前はご覧の人だかりでもう動けません」(大塚力ディレクター)

人気アイドルグループ「SnowMan」初の五大ドームツアーの会場にも。ドームならではの規模をいかし、全国からファンが集結した。
「めめ大好きだよ!」(SnowManファン)

稼働率が回復も本業の営業損益は赤字 改善が課題
コンサートに加え、ドームでは2024年度、eスポーツの世界大会など新規事業を次々と開催。イベント日数は2023年度から31日増え、稼働率は70%台まで回復した。

この効果で「札幌ドーム」の収支は過去最大の大赤字から、2024年度はV字回復。4300万円の黒字になった。
6月23日の株主総会で報告された2024年度の黒字決算。しかし中身を見ると本業の売り上げを示す営業損益は約5600万円の赤字だ。
札幌市が補助金を出してドーム使用料を減額する措置がなければ、本業の赤字がもっと膨らんでいた可能性がある。

阿部新社長が掲げる「攻めの営業」
逆風の中、札幌市生まれの阿部晃士氏が新社長に就任した。
JTBの営業畑出身の新社長が打ち出した立て直し策は「攻めの営業」だった。
「営業しなきゃダメなんです。売りに行かなきゃいけないんです。海外のアーティストやイベントも、われわれで誘致ができないかと思う」(阿部晃士 札幌ドーム新社長)

阿部社長は、コンサート開催日を2ケタにすること、スノーボードやモトクロスの国際大会を開きたいと構想を明かした。
ファイターズ移転から3年目の2025年度。真の黒字化を目指し、踏み出す。
