富山県滑川市の中学2年生が放つ100キロ超えの速球が、日本代表の座を掴み取った。早月中学校2年の高原樹梨亜選手(13歳)は、ソフトボール女子15歳以下の日本代表として今月イタリアで開催されるワールドカップに出場する。恵まれた体格と類まれな才能を持つ彼女の挑戦が始まる。

県勢初の15歳以下女子日本代表に選出
高原選手は、身長168センチという恵まれた体格から繰り出される速球を武器に、県勢初となる15歳以下女子日本代表の座を獲得した。彼女の球速は中学2年生ながら100キロを超える。

「(100キロは)中学1年生の時の6月ごろに出た。計測器で測ったら100キロが出ていて、こんなので100キロなんだと思っていた」と高原選手は振り返る。

所属するニューリバーソフトボールクラブの野口高志監督も「全国にも(中学生では)数人しかいない。バッティングもすごくてなかなかいない選手」と太鼓判を押す。
アジアカップで無失点の好投

今年3月に台湾で行われたアジアカップでは、先発として3試合で7回を投げ無失点の好投を披露。打撃でも5打数1安打1打点と投打で活躍し、日本の優勝に貢献した。
しかし高原選手は「(アジアカップは)優勝できてうれしかったが、まだ世界大会のスタートラインだからうれしいが気持ちは緩めないようにしていた」と冷静に分析する。
バッテリーを組む東部中学校2年の山田乙花選手は「ほかのチームの選手と比べてものすごく球が速くて最初は怖かったが今は慣れた。人柄は皆と仲が良くて笑顔がすてき」と語り、「(W杯で)もちろん世界一をとってきてほしい」とエールを送る。
持ち味は速球だけではない

高原選手の持ち味は速球だけではない。チェンジアップや打者の手元で浮き上がるライズボールを織り交ぜた投球で打者を翻弄する技術も持ち合わせている。
今月27日からイタリアで行われるワールドカップには、世界12か国が出場。現在、日本は世界ランキング2位で、1位のアメリカを破ることが世界一への鍵となる。

「アジア大会で見つかった課題を克服しながら世界に向けて、アメリカと対戦すると思うがそれに合わせた速球と変化球の精度をもっと上げていきたい」と高原選手は意気込む。特に課題としているのが「変化球」だ。「変化球の精度をもっと上げて、アメリカに通用するようなピッチャーになりたい」
小学2年生からの夢

高原選手の秘密は、ソフトボールを始めた小学2年生のころから毎日つけているというノートにある。「練習でやったことと毎日目標を書いていた」と語る彼女。現在使っているのは15冊目だという。
そのノートに小学2年生の時に書いていたのは「日本一のピッチャーになること」そして「オリンピックに出てプロになること」。目標とする選手は上野由岐子選手だ。「(上野選手の)速球の速さを超したいという思いで目標にしている」と高原選手は語る。

富山から世界へ。高原樹梨亜選手の挑戦はまだ始まったばかりだ。