株式会社ジェーシービー(以下:JCB)は、2004年に「グローバルでの互換性」と「セキュリティが高い安全なカード決済」を実現・維持していくための標準化団体「EMVCo」に参画し、2024年に20周年を迎えました 。様々なセキュリティリスクが考えられる中、世界中で安全に決済ができるのは、EMVCoの活動があってこそです。
前編では、ブランドインフラ本部の渡辺さん、田中さん、満岡さんにEMVCoの概要とお客様に与える影響について話を伺いました。後編では、EMVCoへの参画から現在に至るまでのエピソードに関して話を伺います。
前編の記事はこちらから
厳しい交渉を乗り越えてEMVCoの一員に
――EMVCoへの参画を決めた経緯について教えてください。
渡辺:私は2003年10月にアメリカの駐在から帰国し、EMVCo参画に向けた契約交渉を担当することになりました。翌年2月に基本合意書を締結後、参画に向けた正式契約の交渉にはその後10ヶ月を要しました。
アメリカでの交渉に行く前に「絶対に譲れない」と決めた事項を提示しても、相手に難色を示されることもありましたが、日本の本社とは時差があるので相談する時間もとれません。最終的に落とし所を見つけてまとまったのですが、難しい交渉でした。
――EMVCoへの参画後は、どのような取り組みをされたのでしょうか。
渡辺:2004年12月の参画後、最初に取り組んだのが若手社員を連れて、世界中にいた全てのワーキンググループの議長を訪問したことです。
いきなり未知のワーキンググループに若手社員が飛び込んでも、思ったような成果を出すのは難しいと考えました。そのため、1度訪問して顔を合わしてコミュニケーションをとれる機会を設けました。1ヶ月の間にヨーロッパに2回とアメリカにも渡航し、地球2周分くらい移動したことは今でも忘れられません。
JCBは“アジアと世界の架け橋”を担っている
――JCBはどのような点で存在感を発揮できたのでしょうか。
田中:アジアと世界の架け橋になることです。特に力を入れたのが、EMVCoのメンバーとユーザーで行うアドバイザー会議前の取り組みです。この会議では全世界の金融機関の方たちにEMVCoの取り組みを説明しご意見をいただくのですが、アジアの金融機関の方々は言語の問題などもあり、自分たちの意見をなかなか発信できないという課題を抱えていました。
そこで私たちは、参画した当初、会議直前にアジア地域を回って、プレゼンテーション資料を持参して事前説明を行い、「あなたの国・地域やお客様にとってこのような課題があるならば、会議の場でこういったポイントで発言した方がよい」などとアドバイスを行いました。
このように、EMVCoという世界的な標準化団体の中で、アジア地域の声を反映する“架け橋”としての役割を果たすことで、JCBならではの存在感を示すことができたと考えています。
EMVCoの中でもJCBは数多くの強みを発揮している
――EMVCoの中で、JCBが評価されているのはどのような点でしょうか。
渡辺:特に高く評価されたのは「プロジェクトをまとめて推進する力」です。EMVCoのワーキンググループには技術に長けた方々が集まりますが、時として議論が収拾つかなくなってしまうこともありました。そんな中、JCBのメンバーは議論を整理し、プロジェクトのスケジュールを立て、着実に前に進めていく力を発揮していました。
田中:技術的な議論を可視化する能力だと思います。例えば、技術的な議論が行き詰まったとき、ホワイトボードで整理して図示したり、マトリックスを作って論点を整理したりすることで、議論を前進させることができました。
技術面だけでなく運営コストや収支計算など、ビジネス面での提案も行いましたね。エクセルで簡単な収支シミュレーションを作成したところ「たった1日でこんな細かい表を作ったのか」と驚かれたのを覚えています。
満岡:実務経験の豊富さもJCBの強みといえる点です。カードの発行と加盟店との契約、両方を手がける事業会社として、市場に近い位置にいることがJCBの大きな特徴です。現場での影響を具体的に理解し、説得力のある提案ができていたと思います。
今後も安心で便利な決済に貢献していく
――最後に、今後の展望についてお聞かせください。
渡辺:EMVCoの役割はカードでの支払い、店舗での買い物、ネットショッピングなど、私たちの生活に欠かせないものだと言えます。セキュリティ上の脅威が高まっていく中でも、お客様が気にせず安心してお買い物できる環境を維持していく必要があります。
私たちの活動が、JCB会員だけでなく一般消費者の皆さまにも、意識せずに安全な決済環境を享受できることにつながればと思います。
田中:「継続は力なり」という言葉の通り、私たちはEMVCoの活動を続けていきます。決済シーンは今後もどんどん進化し、メタバースなど新しい形のコマースも登場してくるでしょう。しかし、セキュリティと互換性という2つの柱は変わりません。これらを、あらゆる決済シーンで提供し続けることが、EMVCoのミッションです。
日本において、このような国際的な標準化活動に携わることができる立場にあるのは、JCBだけだと自負しています。少しでも多くの方にJCBの活動を知っていただけたら嬉しいです。
満岡:今後は日本から世界に向けて新しい標準化の提案ができるようになることを目指しています。これまではアメリカ発の国際ブランドが持ち込む案件が多かったのですが、今後は日本発唯一の国際ブランドであるJCBとして、日本で生まれたサービスや技術を世界標準とするような取り組みを行い、業界への貢献を果たしていきたいと考えています。
EMVCoでの活動を通じて、より安全で便利な決済環境の実現に貢献していくこと――。それが、私たちの変わらぬ使命です。
■前編の記事はこちら
https://pr.global.jcb/n/n0aaa668581df?utm_source=prts0528&utm_medium=emvco&utm_id=prts0528
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