16日に開会した福井県議会で審議される予算案約51億円のうち半分が、3月に発生した国道158号の土砂崩れの仮設道路の予算となっています。
土砂崩れで通行止めが続いているポイントの先には、青々と水をたたえた九頭竜湖があります。今の時期は本来、県外からも多くの釣りファンが訪れるはずですが、土砂崩れで県外とのアクセスが断たれたため、県外客が激減しています。夏のう回路を完成を待ち望む地元漁協の思いを取材しました。
九頭竜湖は57年前、ダムの建設で作られました。新緑がまぶしいこの季節、湖の上からの景色はまさに絶景です。地元でレンタルボート会社を経営する藤原秀揮代表に案内してもらいました。「いまは新緑がきれいな時期。湖上からの景色は新鮮。広葉樹は新緑と秋のシーズンはものすごくきれい」
上空には魚を食べる猛禽類・ミサゴが飛んでいます。九頭竜湖は釣りスポットとしても全国的に知られています。
奥越漁業協同組合の嶋田博組合長は「4月、5月、6月は釣りのシーズン。大きな面積を持つ九頭竜湖では近年、大きいサクラマスやイワナがどんどん釣れるようになっている。長年通っている釣り師も喜んで、毎年来てくれている」
しかし、2025年3月に大野市と岐阜県を結ぶ国道158号で土砂崩れが発生し、現在も通行止めが続いています。
県外とのつながりが絶たれ、釣り客の8割を占めていた県外からの客が激減。嶋田組合長は落胆の色を隠せません。「釣り人に迷惑をかけている。う回路で福井方面からしか九頭竜方面に入って来られない。昔から、岐阜とのつながりは大きい」
それでも、福井市から訪れた釣り客の姿がありました。手にしていたのは、体長が50センチを超える大物です。
釣り客:
「よいしょー!いいサクラマス、プリンプリン!最高です。こんな魚がいるのは最高!」
九頭竜湖のサクラマスは、ダム湖という限られた空間の中でじっくりと育つため、大きく太るのが特徴だといいます。
釣り場としての魅力は変わらず、地元の漁協では、夏休みシーズンまでのう回路の開通を心から願っています。「土砂崩れで困ったが、自分たちではどうもならないし、(う回路が)できるのを待つだけ。子供たちの夏休みが重要なキーポイントになってくるので、それまでに1日も早く開通して欲しい」
サクラマスは、なかなか釣れない幻の魚。“聖地”といわれる九頭竜川でも、7、8年通って1匹も釣れない人もいる程です。そんな釣り師たちも「九頭竜湖ではチャンスがある」と話すほど、人気の釣りスポットなのです。
国道158号の土砂崩れでアクセスが断たれた影響は、観光や地域経済に大きな打撃となっていて、う回路の開通が待たれています。