今年も梅雨の時期を迎える。ジメジメ、ムシムシした気候で繁殖しやすくなるのがカビ。そのカビで知らぬ間に健康を害し重症化するおそれもあるという。

人気は「カビを予防する」グッズ
福岡市・天神の雑貨店「インキューブ」では、一足早く4月中旬からカビ対策グッズの特設コーナーが登場。 約40種類の商品を取りそろえ、売れ行きは好調だという。「カビができてから取るのは大変なので、カビができないように“予防するグッズ”が人気です」と語るのは、同店の原野可菜さん。

中でも一番人気なのが、微生物の力を利用してカビの繁殖を防ぐという「パワーバイオ お風呂のカビきれい」という商品。置くだけでOKという手軽さで、浴室だけでなく下駄箱や窓用などカビが発生しやすい場所に合わせ、シリーズで8種類を展開しているという。

さらに、自宅などのエアコンの内部を自身で手軽に掃除できる「カビッシュトレール」もおすすめだという。吹き出し口にシューっとすれば、泡が密着してカビや汚れが落ちるという。

「見えないカビ」が肺炎を引き起こすことも
「カビなんて、ただの汚れでしょ?」などと甘く見てはいけない。目に見えないカビを吸い込み続けることで、深刻な健康被害を引き起こすおそれもある。重症化して入院を余儀なくされることもあるというから、決して油断はできない。

「日常生活の中には、何らかのカビがいて、普段からある程度吸い込んでいるものもある。アレルギーと同じで、ある日突然発症することもあります」と警鐘を鳴らすのは、福岡青洲会病院呼吸器内科の青木亮太医師だ。
カビなどが原因で発症する「過敏性肺炎」は、痰の絡まない乾いたせきや発熱など、一見、風邪のような症状が現れるが、X線写真では肺にモヤモヤとした白い影が映し出されるという。

特にこれからの時期に流行するのが「夏型過敏性肺炎」。原因となるのは「トリコスポロン」という種類のカビだ。

このトリコスポロン、黒カビのように目には見えず、胞子の形で空気中をフワフワと漂う。エアコンや浴室など湿気が多い場所に潜んでおり、在宅時間が長い人は特に注意が必要だという。
もし症状を軽視し、慢性化してしまうと「肺が硬くなり、うまく膨らまなくなってしまいます。重症化すると酸素吸入が必要になったり、ステロイド薬を使わないと炎症が収まらないこともあります」と青木医師は説明する。

ほかにも注意 健康被害を引き起こすカビの数々
注意すべきカビは他にもある。
まずは「アスペルギルス」。土の中に生息し、土ぼこりと一緒に家の中に入り込み、エアコンのフィルターや家具の裏に潜んでいる。吸い込むと肺炎を引き起こすおそれがあり、特に免疫力が低下している人だと、命に関わることもあるという。対策としては、こまめな掃除や換気、除湿器の利用が効果的だ。
そしてもう1つが「エクソフィアラ」。浴室に生える黒カビの一種で、植物にも付着することがあるという。傷口から体内に侵入すると、皮膚で炎症を起こした後、脳や他の臓器に転移する危険性も指摘されている。対策は浴室のしっかりした掃除、ガーデニングの際には手袋を着用することだ。
梅雨時期のカビによる健康被害を決して軽く見てはいけない。見えないカビの脅威にもしっかりと対策を講じ、ジメジメしたシーズンを健康に乗り切りたい。

(テレビ西日本)