中東情勢の沈静化に期待が高まる一方で、ホルムズ海峡の封鎖状態は、いまも解消されておらず、原油の供給不足や国際価格の高止まりが続いている。

原油高 年間100万円単位で経費増

福岡市博多区、中洲の傍らを流れる那珂川下流。観光客に人気の遊覧船『リバークルーズ』が運航されている。

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中洲リバークルーズは、上流側のキャナルシティ博多付近から下流側の博多ポートタワー付近まで巡る約30分の水上観光。現在の運営会社が2015年から事業を始め、国内だけでなく海外からの旅行客にも人気の観光クルーズだ。

この小さな船旅も燃料である軽油の価格高騰など中東問題のあおりを受け、経営状況は厳しさを増している。原油高の影響はどのくらいあるのか。

『中洲リバークルーズ運航会社』代表の湊卓樹さんは「繁忙期は便数も増えるし、1日の使用量が100リットルを超えるときもある。年間100万円単位で経費増になる」と表情も浮かない。

収入の柱となる乗船料は、事業開始以来据え置いてきた。しかし経営努力も限界を超え、4月1日から500円値上げして1500円に改定した。それでも今後の経営に不安は残る。

「船の整備点検にかかる費用も嵩んでいて、例えばオイル交換や部品交換、物資高騰の影響を受けている。長期的にも不安」(リバークルーズ運航会社 湊卓樹・代表)。

「こんなことあるのか。すごいことになった」

一方、石油製品の供給目詰まりは、深刻さを増している。福岡・朝倉市を中心に住宅のリフォームなどを手掛ける『古賀組』。営業部長の井上裕一郎さんから見せてもらったのは、取引先のメーカーから届いたという大量の通知。全て”新規受注の見合わせの件”だ。

4月13日、住宅設備大手のTOTOは、ナフサの供給不足を受け、システムバスなどの新規受注を停止すると発表。その後、20日から段階的に受注を再開するとしたが、部材の調達については依然、不安定な状態が続いているとしている。またLIXILも4月14日からシステムバスなどの納期を未定とすると発表した。

井上営業部長は「ユニットバス。面材のフィルムが貼ってあるんですけど、これを接着する材料、接着材がないということが、各社からの“お知らせ”で来ていました。こんなことあるのかな、すごいことになったなという感じです」と驚きを隠せない。

すでに浴室関連の工事の一部がストップし、新規の契約を見送る事態になっている。またキッチンや洗面所などにも受注制限が設けられたり、断熱材や配管部材といった建築資材が出荷停止や値上げになったりするなど、影響は広がり続けている。

「10日前くらいは”値上げか、また厳しくなるな”と思っていたら、そもそも入らないという状況になっちゃって、えっ!というところ。私たちの力ではどうにもならないので、様子を見で、早く落ち着いてくれと願うばかりです」(古賀組 井上裕一郎・営業部長)。先行きは不透明だ。

「毎日、商品欠品の連絡が入る…」

福岡・宗像市の屋根・外壁塗装の専門店『フクモト工業』でも深刻な事態が起こっていた。

「最初はシンナーだけだったんですが、いまでは塗装する用具にも派生しています。人がいて仕事があってもものがないので、塗装ができないということは初めての経験」と話すのは、フクモト工業専務の福本章宏さん。

ナフサ由来のシンナーや塗料をはじめ、塗装工事に使う多くの資材が出荷停止や大幅値上げになっているという。

福本専務は「いま不足しているシンナーは、塗料の仕上がりが、きれいになるように少し混ぜるんですけど、欠品が続いていて、注文すらできない。また“水性”の下塗り材は当初、影響が殆どないだろうと予測していたが、いま出荷停止で…」と話す。ナフサ由来の油性塗料の不足を受け、代替品とされる水性塗料も出荷停止となっているのだ。

他にもテープなどの養生資材や防水性を確保するシーリング材なども入荷が困難になっているという。

「毎日のようにメーカーからこの商品が欠品と連絡があります。メーカーや職人とも情報共有しながら、いろんなこと考えながらやっています」(フクモト工業 福本章宏・専務)。問題は深刻だ。

赤沢亮正・経済産業大臣は、閣議後の会見で、多方面で原材料の供給不足が指摘されていることについて「目詰まりや偏りが生じたという連絡があれば直ちに対応する。経産省や各省に声を届けてもらえれば、数日以内に目詰まりが解消する、その見込みが立つことになっている」と述べた。

あらゆる分野に広がる“令和の石油危機”。現場の不安はいつ解消されるのか。

(テレビ西日本)

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