床上のフィギュアスケートと呼ばれる一輪車演技。この華麗な世界で世界トップを目指す富山市の村井姉妹と、ドイツからの留学生がチームを組み、見事な演技を披露した。

息ぴったり、華麗なる一輪車演技

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床上のフィギュアスケートとも呼ばれる「一輪車演技」は、回転やジャンプなどの技に加え、腕の角度や指先の形、目線に至るまで表現力が問われる本格的な競技だ。

富山市に住む村井日和さんと日菜生さん姉妹は、この一輪車演技で頭角を現している。去年5月の近畿一輪車演技大会では、息の合ったダンスを披露し、ペア演技・中学生以下の部で優勝を果たした。

「ソロ演技の場合は自分の世界に入り込んで、表現したい曲に合わせて演技をすること」と語る高校生の日和さん。中学生の妹・日菜生さんも「演じ方は選手によって違うし、それによって違う一輪車が生まれる」と、表現の奥深さを感じている。

世界に広がる一輪車の絆

姉妹のもとに、今年3月から新たな仲間が加わった。ドイツからの留学生、17歳のセリーナさんだ。3年前の世界大会で日和さんと友達になり、日本の一輪車ダンスの高い演技力と表現力を学ぼうと、村井家に3カ月間ホームステイしながら練習に励んでいる。

「私にとって一輪車で一番重要なことはパフォーマンスと演技。日本人は非常に上手に一輪車に乗って演技を披露する」とセリーナさん。日本での滞在中、技術だけでなく準備やストレッチなど大切なことを村井姉妹から学んでいるという。

国際チームで挑んだ近畿大会

今年の近畿大会では、セリーナさんも参戦。三人は、金沢のクラブチーム「エスペシャリー」のメンバーとともに6人でのグループ演技にもエントリーした。前半を日本の曲、後半をドイツの曲に合わせるという国際色豊かな演目だ。

大会当日、近畿地方を中心に北陸、四国、九州などから14団体82人が集まった。個人演技では、日菜生さんが中学生の部で2位、高校生以上の部では日和さんが6位、セリーナさんが5位と健闘した。

そして迎えたグループ演技。音楽に合わせたジャンプや回転、グループならではの隊列やシンクロした動きで観客を魅了し、見事優勝を勝ち取った。

「みんなで演技をしてすごく楽しかったです」と日和さん。セリーナさんも「めっちゃ楽しかった」と笑顔で語った。

国境を越えて続く挑戦

6歳頃から一輪車に乗り始めた日和さんは、3年前の国際大会でペアの部世界2位、トラックレースでも銀メダルを獲得。その活躍に刺激された日菜生さんも一輪車マラソンの全国大会で優勝するなど、姉妹は互いに高め合いながら成長してきた。

セリーナさんは「一輪車と一輪車ダンスは小学生から私の人生の一部で大きな意味を持つ。日本での素晴らしい思い出を心の奥深くに留めてこれからも長く続けていきたい」と語り、5月12日にドイツへ帰国した。三人は世界大会での再会を誓ったという。

日和さんはセリーナさんとの交流を通じて英語学習にも力を入れ、将来は国際的な仕事に就きたいと考えている。日本とドイツ、それぞれの地で三人の挑戦は続いていく。

富山テレビ
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