全国展開の中古車販売店でいま、購入者が憤る大きなトラブルが起こっている。福岡県内の店舗を直撃した。
「ローン会社に担保として車検証を…」
「購入した車が、マツダのアテンザというセダンの車になります。補償とかいろいろ込みで80万円弱ですかね」と取材に応える福岡に住む30代の男性。

男性は、2024年12月、福岡・朝倉市の中古車販売店でセダンタイプの車を総額80万円ほどで購入した。

当時、説明された納車の予定時期は2025年の2月末。しかし、料金を振り込んでから1回も店舗側からの連絡がなかったという。

堪らず男性は自分から連絡したという。「『いつになりますか?』と1週間おき、2週間おきに連絡して…。3月の中旬頃に電話したら『提携しているローン会社に担保として車検証を渡している状態で、その買い戻しができていなくて、その順番待ちを現在しています』と言われて…」と話す男性。困惑した表情だ。

問題の中古車販売店の名は『カーネル』。“中古車最安ナンバーワン”をうたい、朝倉市や北九州市を含む全国14カ所に店舗展開している。
のらりくらりと言い逃れる社長
結局、4月になっても納車されず男性は注文をキャンセル。しかし今度は一向に返金されない。男性は運営会社の社長に連絡をした。

▼社長「きょう、ご入金の予定だったんですけど、明後日2日にご返金させて頂けると思っていまして、本当に申し訳ないです。何度も」
▼被害者「2日は何時頃に入金される?」
▼社長「15時まで、お時間を頂ければと思います」(4月30日)

▼社長「すみません。5月の8日には完璧にご返金させて頂きます」
▼被害者「いや、あの~きょうっていう約束だったじゃないですか?」
▼社長「そうです。きょうというお約束をさせて頂きまして…、きょうの、すいません、我々の…問題ではないんですけど、ちょっと日にちがゴールデンウイーク入ってしまって…、本当に何度もすいません。これで最後になりますので」(5月2日)

しかし「最後の約束の日」だった5月8日にも振り込みはなかった。
敷地内には「売約済み」の車が…
朝倉市の店舗。カーネルの看板が掲げられている。敷地内には、まだナンバーのついていない車がたくさん止まっていた。

値札が付いたままの車もある。なかにはボンネットが開いている車もある。さらに『ご成約済み』と書かれた紙が貼られた車まであった。

カーテンが閉められた事務所には、誰もいない。近所の人は「5月のゴールデンウイーク明けぐらいから誰もいなくなった。つぶれたのかと話をしていた」と話す。

店舗に電話してみると「おかけになった電話はお客さまの都合により通話ができなくなっております」と電話スピーカーが空しく告げるだけだ。
社員への給料の支払いも滞る
自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんは「カーネルの被害者は150人から200人くらい。一番やっかいなのが、社長が逃げ隠れしてないんですよ。『いついつ融資が下りるから、そうすれば皆さんに車を納車できます』とか『返金できる』とか、嘘がすごい」と全国から被害を訴える声が集まっていると話す。

またカーネルの元従業員によると2024年10月頃から、本社からの入金が滞り、車両の整備費用などが支払えず納車の遅れが発生。さらに、年末からは給料の支払いが遅れ始め2025年2月から4カ月分の給料が未払いになっていたという。

朝倉市の店舗でセダンを購入した福岡の30代男性。いまだ返金もないなか、運営会社の社長から「来週、新しい弁護士を選任しますのでお待ち下さい。また来週にはご返金のスケジュールもご提案できると思います。いま暫くお待ち下さい」というメッセージが入れられていたという。

男性は「正直、怒りしかないというか…、裁判所を通して催促をこれから進めたり、警察署にも時間があれば行って相談したりしてみようかなとは思っています」と話す。

(テレビ西日本)