鹿児島県姶良市で4月19日に投開票された市長選挙で、新人の米丸麻希子さん(50)が初当選を果たした。県内の自治体で女性がトップに立つのは初めてのことだ。「政治に女性が関心を持ってもらえるきっかけになれば」と語る米丸さんの当選を、市民や専門家はどう受け止めたのか。
1万7133票を獲得、現職に勝利
姶良市長選は即日開票の結果、元県議会議員の米丸麻希子さんが1万7133票を獲得し、3期目を目指した現職の湯元敏浩さんを退けた。

翌20日朝、当選証書を手に受け取った米丸さんは、喜びをかみしめながらこう語った。「これから姶良市政を担っていく重みを感じる。しっかり4年間務めていかないといけないというやる気に満ちあふれている」
選挙戦で米丸さんが掲げたのは、防災対策の充実、移住の促進、そして心身ともに健やかに暮らせるまちづくり。県内初の女性市長という歴史的な一歩を、市民はさまざまな思いで受け止めている。

「男性よりは気持ちが分かってくれるかな」 市民の声
姶良市内で話を聞くと、期待の声が相次いだ。子どもを持つ女性は「金銭的な面とか医療費とか負担が減ったらうれしい。男性よりは気持ちが分かってくれるかな」と話す。別の女性は「子ども連れの飲食店で『子どもは遠慮してください』という話を聞いて、子育ての部分も分かってほしいという気持ちがある」と、生活に根ざした期待を寄せた。
男性からも「目線が違うと思うので期待したい。他の所にも影響が大きいと思うが、あとはどういう仕事をしてくれるかだ」との声が聞かれた。
鹿児島市でも反響は広がっている。50代の男性は「一般の会社では女性の社長や経営者はたくさんいる。それがなぜ市長だといないのか、逆に疑問。遅かったのかなという印象」と率直に語った。30代で子育て中の男性は「新しい風が鹿児島に吹いてくるような気がする。女性がもう少し社会で働きやすくなれば、奥さんのことを考えるとうれしい」と歓迎した。また10代の女性は「子どもを産んで育てやすい姶良市になれば、鹿児島の中で移住したい人が増えていくのかな」と将来への期待を語った。
SNS活用と「若い人が多い街」が勝因に
政治学が専門の鹿児島大学・藤村一郎准教授は、米丸さんの勝因をこう分析する。
「SNSの活用は米丸さんがうまい、というか多い。鹿児島県の中でも姶良市は『住みごこちナンバー1』で若い人が多い。米丸さんのSNSでの活動は因果関係があるので、ある程度うまくいったのでは」
住みたいまちとして若い世代を引きつける姶良市の特性と、米丸さんのSNS戦略がかみ合った形だ。
さらに藤村准教授は、今回の結果の背景に、政治の世界で女性が活躍する現在の流れがあると指摘する。2025年7月の参院選では尾辻朋実さんが鹿児島県内選出として初の女性国会議員となり、同年10月には高市早苗総理が誕生している。
「"おじさんがダメ"と言っているだけではないが、"おじさんだけでもダメ"という考え方に有権者の意識が移り始めている。女性目線で主婦や働く女性、子育てへの配慮が"おじさん"に比べるとあるのでは、という期待がある」
「政策の具現化」が今後の課題
一方で藤村准教授は、米丸さんへの期待とともに課題も口にする。
「米丸さんはとてもポジティブで夢のあることを言うし、そこを評価して投票した人がある程度いると思うが、政策の実体化・具現化がひとつ課題とみている」
防災、移住促進、まちづくり——掲げた公約をどう形にしていくか。県内初の女性首長として注目を集める米丸さんの市政運営が、これから始まる。
(動画で見る▶【中継動画】米丸麻希子氏(50)に聞く 姶良市長選挙で初当選)
