「すしのゴールデンルート」で魅力発信へ──富山県と北九州市が連携

富山と北九州市の間に、寿司を通じた新たな絆が生まれようとしている。「世界初のすし会談」として実現した両自治体のトップ会談は、日本が誇る食文化の魅力を広く発信する新たな取り組みの第一歩となった。

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"すし"で結ばれた離れた地域の出会い

12日、富山駅に降り立った北九州市の武内和久市長。「いよいよ世界初の『すし会談』ですからね。ちょっと力が入ります!」と意気込みを語った。

遠く離れた自治体同士がなぜ"すし"を介して連携するのか。それは両者が持つ寿司文化の強みにある。

富山県は「寿司といえば、富山」をキャッチフレーズに一昨年からブランディング戦略を展開し、去年の家計調査では富山市の寿司(外食)の支出額が全国1位(2万3185円)を達成した。

一方の北九州市は「さしみ盛り合わせ」と「その他鮮魚」の支出額が過去3年間の平均で全国1位という魚好きの街だ。響灘、関門海峡、豊前海と三つの異なる漁場に囲まれ「すしネタ」の宝庫でありながら、知名度不足という課題を抱えていた。そこで市は今年4月、「すしの都課」を設置し、全国への発信を強化している。

旬のネタで味の競演、感想を交わす両首長

会談では、それぞれの地域の旬のネタを食べ比べる場面も。

富山からはシロエビやイカの昆布締め、氷見マグロなどが、北九州市からは「出前寿司」としてヤリイカや玄界灘のマアジ「げんちゃんあじ」、アカウニなどがそれぞれ10貫用意された。

「しっかりした食感、歯ごたえもありながら…」と「げんちゃんあじ」を味わう新田知事。武内市長もシロエビの軍艦を口にして「富山湾の宝石といわれるだけあって、見た目は繊細だけど口の中に入れるととろけていく。宝石と呼ばれるにふさわしい上品な味ですね」と感想を述べた。

「すしのゴールデンルート」構想が始動

会談の成果として、武内市長から「『すしのゴールデンルート』をつくりましょう」という提案が飛び出した。富山と北九州市を結ぶ観光ルートを確立し、JR西日本も交えた3者連携で推進する構想だ。新田知事は将来的に旅行商品の企画も期待できると話した。

手始めに、両自治体の中間地点である大阪駅周辺で8月に共同イベントを開催することが決まり、すし会談の第二弾として両首長も参加する予定だ。

「本当に尊敬する同志と思っています。先ほどプレゼンをお聞きして、ちょっとメラッとライバル心は持ったが…」と新田知事。武内市長も「富山県の寿司の魅力、北九州市の寿司の魅力。それぞれ特色があるなと。共存共栄でいきたい」と語り、他地域や民間企業も巻き込んだ大きな流れを作っていく意欲を示した。

寿司を通じた地域ブランディングという新たな試みが、日本の食文化の魅力を国内外に広めていく契機となるか、今後の展開が注目される。

富山テレビ
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