相次ぐ鋳物原料の盗難被害

富山県高岡市で、鋳物の原材料となる銅合金の塊「インゴット」の盗難が相次いでいることが明らかになった。市内の鋳物製造会社の少なくとも2社が被害に遭っており、警察が捜査を進めている。

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被害に遭ったのは高岡市戸出にある平和合金。先月31日の朝、出勤した従業員が工場内に積み上げられていた銅合金のインゴットが減っていることに気づいた。

会社によると、およそ50個のインゴットがなくなっており、工場の扉が壊された形跡から侵入盗であると判断し、警察に被害届を提出した。

「これで(1個)10キロくらい。片手で十分持てると思う。両手で持って盗んで行ったんだと思う」と平和合金の藤田和耕社長は語る。

60万円超の被害額、高まる金属資源の価値

盗まれたインゴットの総重量はおよそ500キロに達し、被害総額は60万円から70万円と見られている。高岡市内では他の鋳物製造会社でも同様の被害が報告されており、関係者は転売目的の犯行ではないかとみている。

「監視カメラを導入しようと思っていた矢先の被害だった」と藤田社長は悔しさをにじませる。「地金は改めて資産性が高いものだと気づかされた。今後は防犯カメラや保管の仕方を徹底したい」

伝統産業を標的にした犯罪の増加

高岡市では今年4月にも、伝統的な鋳物師の町として知られる金屋町で店舗前に置かれていた銅像あわせて4体が盗まれる被害が発生している。県警によると、県内における金属の盗難件数は増加傾向にあり、昨年は127件と3年前の倍以上に増加した。

「高岡銅器は400年の歴史があって今に至っている。鋳物産業を狙った犯行に憤りを感じる」と藤田社長は語る。

金属価格の高騰に伴い、こうした伝統産業の資材が狙われる事件は今後も起きる可能性があり、地域社会全体での警戒が求められている。

富山テレビ
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